路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】: さいとうさんと「私」 プロローグ  

2025-03-03 05:30:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】: さいとうさんと「私」 プロローグ  

 『漂流する日本の羅針盤を目指:【迷走する兵庫県政】:【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】: さいとうさんと「私」 プロローグ 

 ■何が心を揺さぶったのか 「主役」の県民 さまざまな物語

 すさまじい熱狂だった。昨年秋の兵庫県知事選で巻き起こった大きなうねりのことだ。何が本当で、誰の言葉を信じれば良いのか。「陰謀」「既得権益」「隠された事実」…。3カ月が過ぎた今も膨大な情報がネット上に飛び交う。確かに日本中の注目を集めた選挙だった。しかし、選挙の主役は間違いなく私たち兵庫県民だ。知事をめぐる告発文書について、県議会の調査報告が目前に迫る今、あらためて県民の物語に光を当て届けたい。そんな思いとともに、連載シリーズ「あの熱狂の中で」を始める。

  知事選終盤、斎藤元彦の街頭演説はどこも黒山の人だかりとなった=2024年11月16日夕、神戸市中央区

神戸新聞NEXT

 「さいとう! さいとう!」。地響きのようなコールが神戸の三宮センター街を覆っていた。通路はどこも人で埋め尽くされている。昨年11月16日夕、斎藤元彦は再選を訴えた17日間の選挙戦最後の街頭演説に臨んだ。陣営が3千人と見込んだ聴衆は数万人に膨れあがった。

 光を放つ無数のスマートフォンが人波に浮かぶ中、街宣車に上がった斎藤が背筋を伸ばす。「本当に一人からのスタートだったんです」。演説の中で「一人」という言葉を20回近く口にする。そして、叫ぶように言い放った。「皆さんは決して一人じゃない」

 彼が拳を突き上げるたび、周囲の空気が震える。「皆さんに直接届くような政策をもっとやっていきたい。それが斎藤元彦の3年間の戦いだったんです」

 「一部の権力者の一言で、組織の全ての人が(票を)入れてしまう。そんな民主主義ではダメなんです」

 わき上がる大歓声、渦巻く熱気。階段で見ていた20代とおぼしき男性が隣の女性につぶやいた。「日本の民主主義も捨てたもんじゃない」

            ◆   ◆

 知事を失職した昨年9月30日の朝、斎藤は神戸のJR須磨駅前に立った。前回の知事選(2021年)でもここから駅立ちをスタートさせた。あの時は自民党と日本維新の会による「政党丸抱え」の選挙だったが、今回は寂しい船出となった。斎藤は何も語らず、ひたすら頭を下げるだけ。多くの人は冷ややかな視線を向けて通り過ぎた。

 だが、それから1カ月で状況は一変する。交流サイト(SNS)で斎藤擁護の主張が巻き起こり、支持の声が急速に広がった。

 10月31日の告示日、斎藤の出陣式には200人を超す支持者が集まった。マイクを握る斎藤の顔は紅潮していた。

 「メディアの報道に負けるな、という声もいただきました。いろんな政党や政治家からは、斎藤元彦に知事をやらせるわけにはいかないという強い声が上がっている。斎藤か、斎藤以外か。私は絶対に負けるわけにはいかないんです」

 地域に関係なく、演説に集まる聴衆は日を追って増えていった。そして選挙戦最後の演説で「たった一人」だった斎藤が感謝の思いを込めた言葉。それが「皆さんは決して一人じゃない」だった。

 投開票日の11月17日午後8時、マスコミ数社が「当選確実」の報を打つ。喝采が渦巻く中、斎藤のインタビューを始めた記者たちに向け、怒りのこもった声が浴びせられる。それまで穏やかに選挙の行方を見守っていた人たちが、敵意をむき出しにして叫んでいた。

 「帰れ!」「謝れ!」「オレたちの勝利だ!」

          ◆   ◆

 投開票日の翌日から、神戸新聞には斎藤再選を喜ぶ声が次々寄せられた。75歳の女性は「朝から赤飯を炊きました」と電話口で話した。小学2年の女児は、今年一番うれしかったこととして「さいとうさんが選挙で再当選されたこと」と書いた。

 一方、斎藤は公選法違反容疑で告発され、空席となった副知事は決まらず、県政の混乱は今も続く。

 斎藤に投じられた111万3911票にはそれぞれの物語がある。それは、他の候補に投じられた134万9902票も同じだ。

 第1部「さいとうさんと『私』」では私たち県民が、出直し選挙に臨んだ斎藤とどう向き合ったかを記していく。=敬称略=

(連載取材班)

            ◇

 兵庫県知事選では「何が真実か」を巡って、さまざまな意見が飛び交いました。連載「さいとうさんと『私』」では、有権者がどう向き合ったか、その心の動きや現象を伝えます。

 ご意見、ご感想をお寄せください。特設メールのアドレスは、chijisen@kobe‐np.co.jp です。

 取材させていただくこともありますので、できれば連絡先を記してください。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 NEXT 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選挙】  2025年02月28日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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