【HUNTER・01.14】:失政の証明(下)|町民が知らない「大任町しじみセンター」の惨状
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.14】:失政の証明(下)|町民が知らない「大任町しじみセンター」の惨状
「しじみの大ちゃん」は福岡県大任町のシンボルキャラクターである。町内のあちこちに掲げられている看板には「しじみの大ちゃん」(*下の写真)、道の駅「おおとう 桜街道」の特産売り場にいる「しじみの大ちゃん」のセリフは『おおとう名物 しじみのパワーで毎日元気』となっている(*下の写真)。
これだけ宣伝されれば、誰もが“しじみ”は大任町の特産物だと思うはずだ。しかし、陳列商品に使われているしじみに大任町産は1個もなく、裏ラベルに記載された確認可能なしじみの産地が、「中国」「インド」(*下の写真)だったことは報じてきた通りである。(⇒ 既報1、既報2)
一体、町は何を根拠に“しじみ”を名産品として位置付けてきたのか――。調べてみたところ、永原譲二町長が進めてきた施策の一環として、しじみの養殖場「大任町しじみセンター」が2014年(平成26年)頃に稼働していたことが分かった。10年以上も前からしじみの養殖に取り組みながら、いまだに出荷量はゼロ。明らかにおかしい。しじみの養殖場に行き現状を確認した。
■養殖失敗
結論から述べる。しじみの養殖は失敗しており、その結果が「出荷量ゼロ」なのだ。養殖場に行ってみればわかるが、荒れ放題に等しく、まともに稼働しているとは思えない。明らかな「失政」だが、おそらく永原町長は、町民に真実を告げようとはしないだろう。
都合の悪い話になると、はぐらかしたり議論のすり替えを行ったたりで逃げを打つのが永原流。いつものように「しじみの養殖場では、ちゃんと研究を進めている」などとごまかす可能性が高い。しかし、現状を見れば、いかなる言い訳も通用しないことが分かる。下は昨年12月中旬にハンターの記者が撮影した養殖場の様子。養殖プールの中は“藻”で緑色になっている。
これは、まだいい方で、昨年10月の初めに同町の次谷隆澄、宮地篤両町議会議員が緊急視察した際はもっと酷い状態だった。下が次谷議員提供の現地画像だが、藻の緑は現状よりかなり濃い。
両議員の視察を受けて「これはまずい」と藻を除去したものの、12月になって再び緑のプールに戻ったといったところだろう。
最悪なのは、昨年10月の初めに次谷議員らが視察した時の一部のプールの状態(*下の写真)。なんと“草茫々”という惨状だった。水がない以上、しじみは育たない。
養殖プールは草茫々か、あるいは“藻”だらけ。こうした状態を何年間も続けてきたというのだから開いた口が塞がらない。“失政隠しのための事業継続”という構図が浮かび上がる。
■「しじみは順調に育っています」は嘘だった?
「失政ではない」と強弁するため、永原流の様々な言い訳が出てきそうだ。しかし永原氏には、しじみ養殖に関しては「嘘」を重ねてきた疑いさえある。覚えている町民がどれほどいるのか分からないが、参考までに紹介しておきたい。町が発行している「広報 おおとう」の2014年(平成26年)4月号(NO.273)の記載内容である(*広報にある赤い囲みはハンター編集部)。
自慢げに両手を広げて自身の施策をアピールする永原町長は、“しじみの養殖”について次のように述べていた。
残念ながら、しじみが“順調”に育っていないかったことは、ハンターが大任町に行ったしじみの出荷量に関する情報公開請求の結果――「実績はありません」――が明確に示している。
養殖が失敗したことを町民に知られないよう、永原氏は養殖場を閉じるという選択をしていない。当然、養殖場の維持費が毎年出ていく。下は、次谷町議の調べで判明した年度ごとのしじみ養殖場への公費支出額。10年間で2,000万円を超えている。これとは別に養殖場の建設費がかかっていたはずだが、かかった費用の開示請求に対し、町は「保存期間の経過により廃棄」として不開示を通知してきている。
業者との契約書を廃棄するわけがないし、決算書類から契約額を割り出すのも簡単。町はハンターの抗議に対し「調べ直す」としているが、“建設費を知られるとまずい”という思惑が透けて見える展開となっている。
しじみに関する失政を隠すために永原氏が考えそうなことは、道路整備にかこつけて養殖場を廃止し、存在そのものをなかったことにすることぐらいかもしれない。いずれにせよ永原氏は、養殖失敗の事実を町民に知らせ、謝罪するべきではないのか。公費を使って5万円と米5キロで町民の関心をかっても、失政の責任を回避することはできない。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・福岡県田川郡大任町・シンボルキャラクター「しじみの大ちゃん」が町内のあちこちに掲げられている福岡県大任町・大任町のしじみ出荷量は過去から現在まで「ゼロ」の実態】 2025年01月14日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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