【HUNTER・01.27】:ルール違反目立つ博多駅筑紫口で福岡市長公用車が“ルール違反”
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.27】:ルール違反目立つ博多駅筑紫口で福岡市長公用車が“ルール違反”
カネまみれとなった自民党の国会議員が「税金を払いましょう」と叫んでも、「はい解かりました」と肯く国民は皆無に近いだろう。「ルールを守ろう」――市民にそう呼びかけることができるのは、決められたルールを自ら率先して順守する政治家だけだ。しかし、少し偉くなると「俺は一般庶民とは違うんだ」とばかり、平気で自分だけに適用されるルールを作ってしまうケースは少なくない。先週、近年高く評価していた首長の――正確には首長の公用車の――振る舞いにガッカリさせられた。
■設計ミスとしか思えない博多駅筑紫口の異常事態
下は2022年4月に博多駅筑紫口駅前広場のリニューアが完成した際、福岡市が公表した図だ。広場内に侵入した一般車は赤いラインを通るしかない。以前は一般車も駅舎正面に横付けすることができたが、そのラインにはタクシーと緊急自動車しか入れないことになっている。
上図の黄色部分には「一般車専用乗降場」と記されているが、ここに駐停車できるのは、主に人を降ろす時。乗せる場合は、到着時間を考えて合流した上で運転者が対象者を拾い、短時間に車を発進させなければならない。それが決められたルールであることは、下の『人を待つための停車は禁止されています』という何枚もの立て看板を見れば、子どもでも理解できる。
しかし、リニューアル直後から今日に至るまでの実情は、下の写真のような「ルール無視」が日常茶飯だ。上掲の図、黄色で示された区域には、明らかに「人を待つ」車がズラリ。降車目的の車が止まるスペースはない。
この状況は毎度のことで、いつも並んでいるのは、禁止されているはずの「人を待つ」車ばかり。10分・15分は当たり前、酷いときは20分から30分と止めたままだ。ハザードを付けているのはましな方で、車内で何かを食べる人さえいる。通りに面した最後尾が広場内からはみ出ている場合もあり、人を送りに来た車やタクシーの侵入をさまたげることもしばしばである。
しかし、前掲の立て看板が目に入らないはずはない。要は、確信犯的にルール破りを行う人が絶えないということだ。この状況を苦々しく思っている人は少なくないようで、ハンターにも度々、筑紫口の混在ぶりを嘆くメールが送られてくる。
上の写真は取材で鹿児島に向かおうとしていた先週23日の9時半頃に撮影したもの。実は、6台分ほどしかない一般車乗降場を奪い合うように車を止めている市民をあざ笑うように、一般車は入れないはずの場所にデンと居座っている大型高級車が1台あった。しかも、その車が止まっているのは「ゼブラゾーン(導流帯)」と呼ばれる斜線が引かれた場所。真横から見ると明らかにそこを占拠しており、車体後部が緊急自動車用の駐停車場所まではみ出ている。(*下の2枚の画像参照)
周辺をウロウロしていたところ、通り過ぎていく二人連れの片方が小さな声で「ヤクザの車やろ」――。確かに、黒塗りのゴツい高級車が我が物顔に一般車侵入禁止の場所に止まっている光景は異常だし、目立つ。どんな人間が乗り込むのか見てみようと待ってみることにした。
■ルール違反は市長公用車
問題の車が占拠している「ゼブラゾーン」は、車両の安全や円滑な走行を導くために設けられている区画。博多駅筑紫口にある駅舎前のゼブラゾーンは、救急車やパトカーなど「緊急自動車」が安全かつ円滑に入って来れるようにするため設置されたものだ(*下の画像)。普通の感覚なら、この場所に車を止めて人を待つことなどできない。それが堂々とルール違反。いつから停まっていたのか分からないが、記者が監視を始めて約10分以上経った。
すると、問題の高級車がじりじりと緊急自動車専用の停車スペースから前進。駅舎に平行になったとほぼ同時に後部左側のドアがスライドし始めた。乗り込む人間は誰か――。
なんと、数名を従えて駅舎から出てきたのは高島宗一郎福岡市長。同行者に笑顔で挨拶した市長が、件の車に乗り込むまでを撮影した(*下の2枚の写真)。誰であれ、「ルール違反」と判断したからだ。
駐停車のルール違反が目立つ博多駅筑紫口で、市民の規範になるべき福岡市長の公用車が平気でルール違反を犯していいのか――翌24日、記者は福岡市の担当課に疑問をぶつけた。
市側は、確かに緊急自動車用の駐車スペースがあるラインには一般車は乗り入れが禁止されていると認めた上で、特別な車輛だけには駐停車の許可を出すう運用規定を設けているのだと説明する。特別なケースとは、「要人」の送迎がそれにあたるのだという。つまり高島市長は「要人」ということのようだ。
さらに市側は、要人送迎の場合の駐車を認めているのは「予約タクシー」が停車するための場所であり、緊急自動車用のスペースとその前後にあるゼブラゾーンは含まれないとも話す。しかし市長公用車が停まっていたのはゼブラゾーン。緊急自動車用のスペースにもはみ出していた。記者が、“市長公用車が停まっていたのはゼブラブラゾーンと緊急自動車用のスペースの一部。ルール違反だ”と返したことには、反論がなかった。
高島市長が公用車に乗り込んだのは、ゼブラゾーンから移動したあと。市長自身はルール違反を知らなかったのかもしれない。ただし、ルール違反に厳しい目が向けられている博多駅筑紫口で、市長公用車を含む「要人」用の車だけが、何の説明もなく特別扱いされるのは間違いだろう。市は、「要人」を乗せるために特例があるということを、きちんと告知すべきではないだろうか。
ちなみに、市長公用車に高島氏が乗り込んだ瞬間を撮影した翌日、同じ場所を訪れた記者が見たのは、まさに緊急車両である救急車が停まっている場面だった(*下の写真)。やはりこのスペースと前後のゼブラゾーンに車を止めてはいけない。たとえそれが要人を乗せる車であったとしても、だ。
最後に述べるが、博多駅筑紫口のリニューアルは失敗である。以前の駅前広場の方が今よりスムーズに車が動いていたのは確かだ。博多駅に車を乗り入れる多くのタクシー運転手も、「前より悪くなった」と口を揃える。一般車両のルール違反問題はもちろんだが、3車線ある広場から道路に出るまでのルートはすぐに詰まり、運転手やタクシーの乗客をイラつかせることが常態化している。時には、混雑のせいで傷病者を乗せた救急車が道路に出られなくなることすらあるという。設計ミスを指摘するのは記者だけではないはずだ。駅前広場はJR九州と福岡市が共有しているところ。そろそろ抜本的な解決策を検討すべきだろう。もちろん、誰の車であれ、“ルール違反”は厳しく取り締まるしかない。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・地方自治体・福岡県福岡市・2022年4月に博多駅筑紫口駅前広場のリニューアが完成した際、福岡市が公表した図だ。広場内に侵入した一般車は赤いラインを通るしかない。以前は一般車も駅舎正面に横付けすることができたが、そのラインにはタクシーと緊急自動車しか入れないことになっている事案】 2025年01月27日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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