【HUNTER・01.24】:【福岡県大任町・永原町政の実態】:“知らしむべからず”で「例規集」非公開
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.24】:【福岡県大任町・永原町政の実態】:“知らしむべからず”で「例規集」非公開
全国に自治体は独自に条例や規則などの「例規」を制定しており、それらと規程、要綱などを含めてまとめたものを「例規集」と呼ぶ。一般財団法人「地方自治研究機構」のホームページは自治体の例規集にリンクしており、クリックするだけで各自治体のそれが閲覧可能だ。つまり、例規集を公開していない自治体も一目でわかるということ。めったにない事例だが、福岡県では“あの町”だけが、公開していない。
■県内60自治体で唯一非公開
福岡県にある自治体は29市、29町、2村で合計60。そのうち、例規集を公開していない自治体が一つだけある。指定暴力団の企業舎弟から地域一番の実力者に登りつめた永原譲二氏が町長を務める田川郡大任町だ。下は、地方自治研究機構のホームページで閲覧可能な福岡県内にある自治体及び一部事務組合の「例規集」へのリンクページ(⇒コチラ)。大任町は“非公表”のためリンク先がなく、黒字になっているのが分かる。
全国の自治体数は1,741(特別区:23、市:792、町:743、村:183)。そのうち例規集を公開していないのは、大任町を含む27自治体(町:7、村:20)だけ。九州・沖縄だと宮崎県2村、鹿児島県1町、沖縄県4村に過ぎない。全体の1.5%ということだ。前述した通り、福岡県では60自治体のうち大任町だけが例規集非公開。町民は、自分たちの暮らしに直結する条例や規則などを簡単に見ることができない状況だ。
■隠したいのは「不都合な真実」
町議会だけでなく、田川地域の建設、し尿処理、福祉関係といった主要な業界・団体まで牛耳る大任町の永原町長は、自分にとってマイナスになりそうな情報を徹底して隠し、問題や疑惑が広がることを防ぐ行政手法で権力を維持してきた。かつてハンターの取材には、「町に情報公開請求が行われたら、すべてを自分が決裁する」と断言したほどで、そうした恣意的運用が情報公開制度自体を形骸化させている。
外部からのチェックにはもちろん、町民に対しても「知らしむべからず」を徹底するのが永原流。権力維持のためなら条例や規則を改悪することもいとわない。ハンターが同町の不透明な建設行政について検証するため情報公開請求を始めていた2021年9月には、それまで開示請求権者を「何人も」としていた大任町情報公開条例を改悪。請求権者を「町の区域内に1年以上住所を有する者」に変え、報道機関を含む外部からの開示請求を拒むという時代に逆行する暴挙に及んだ。
田川郡内の8市町村で構成する一部事務組合「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきた“ごみ処理施設”の「積算書」を巡っては永原氏は、「日本中探してもない」と公言。しかし、ハンターや関係議員らが行った福岡県への開示請求によって、し尿処理場(汚泥再生処理センター)の積算文書が存在することが明らかとなっている(*下の写真が積算書)。永原氏にとって、町発注工事の内容や施工体系が分かる文書は、絶対に知られてはならないマル秘事項だったとみられている。
町長が一番触れられたくないのが、建設行政の実態解明につながる文書であることは、これまで散々報じてきた通り。2021年6月には町発注工事の入札結果を非公開にしたが、その後、国から「違法」を指摘されて改善するよう指導を受け、ようやく2023年4月から公表を再開した
背景にあるのは、工事の施工実態がないダミー業者や永原氏の側近企業を使った町発注工事の独占。ハンターの調べで、同町発注工事の半数以上をそうした業者が受注していたことが分かっている。官製談合が疑われる事態だが、福岡県警が摘発する姿勢をみせたことはないという。
ごみ処理施設の「付帯工事」も永原氏周辺の業者が独占している状況だ。田川地区の8市町村が大任町に委託して整備してきたごみ処理施設は3か所。公表されている工事名と現在までの契約金額は以下のとおりだ。
・大任町ごみ処理施設整備工事:契約金額220億円
・汚泥再生処理(*し尿処理)センター整備工事:契約金額89億8,560万円
・大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設整備工事:36憶円
3施設の整備費は、合計約346億円。しかしこれは本体工事だけの金額で、付帯工事が別に数十億単位で発注されてきた。一昨年夏までの合計でしかないが、開示された資料を精査し、問題のダミー業者や永原氏の側近企業がどの程度の付帯工事を受注しているのか確認してまとめたのが下の表である。
驚くべきことに、ダミー業者が受注した工事は全体の44%にあたる16億6,289万980円、側近企業は34%となる12億8,951万2,240円を受注していた。これだけで全体の約8割。残り約2割の工事を請負ったその他の業者も、永原氏が主導する談合組織「田川政策研究会」のメンバーである可能性が高い。国が強く指導して「入札結果」が公表されるようになったことで判明した事実である。
情報公開条例や資産公開に関する条例、さらには町民の暮らしに直接かかわるようなルールを定めたものが「例規」である。当然、誰もが確認できるよう、「例規集」をホームページ上で閲覧可能にする自治体がほとんどだ。しかし、大任町は例規集を公開しておらず、町の決まりを確認しようと思えば、一々役場に連絡して教えてもらわなければならない。
例規は自治体が定めた行政運営を行う上での基本。非公開のままで許される話ではない。例規集に限らず、不都合な真実を隠すための永原流「知らしむべからず」に終止符を打つべき時が来ている。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・福岡県田川郡大任町・田川郡内の8市町村で構成する一部事務組合「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきた“ごみ処理施設”の「積算書」】 2025年01月24日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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