【公職選挙法】:清く正しく子連れ選挙、「親世代の声を届けたい」…総務省がルール明確化
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【公職選挙法】:清く正しく子連れ選挙、「親世代の声を届けたい」…総務省がルール明確化
子連れの親が街頭に立ち、政策を訴える――。今回の統一地方選ではそんな光景が各地で見られる。子供を連れての選挙活動は、公職選挙法に抵触するかはっきりせず候補者を悩ませていたが、政府が3月、違反となる事例を具体的に示したからだ。少子化が進む中、子育て世代の訴えが政治に届くきっかけとなるか。(飯田真優子)
■選挙活動中のマスクに悩む立候補予定者、外したら「高齢者のことを考えろ」…着けても非難
◆傍らにベビーカー
「歩いている人に手を振らないでね」。今月1日、東京・国分寺市議選(16日告示、23日投開票)に出馬予定の30歳代女性は長男(7)にそう念を押すと、JR国立駅前でマイクを握った。「子供を育てる当事者だからこそできることがたくさんある」。傍らのベビーカーでは生後まもない次女が眠り、長女(2)は近くのベンチで夫(38)があやす。
選挙期間中に子供が親への投票を呼びかければ、18歳未満の選挙運動を禁じる公職選挙法に違反する恐れがある。だが、頻繁に授乳する必要がある上、子供が「ママと一緒がいい」とぐずれば、街頭演説に連れて行くほかない。だから子供を同行させる際は、選挙に利用していると見られないよう細心の注意を払う。
子供の世話があるし、立候補にためらいもあった。だが、「市政に若い親世代の意見を反映させたい」と決意を固めている。
◆これって違反?
「子連れ選挙」が注目を集めたのは、昨年夏の参院選東京選挙区に立候補した田村真菜さん(34)の訴えがきっかけだ。
田村さんは公示前、都選挙管理委員会から「選挙期間中に子供を抱っこしたり手をつないだりして活動すると公選法に抵触するかもしれない」と説明を受けた。だが、長男(4)を保育園に預けられない時は、連れ歩かざるを得ない。演説中はお菓子を持たせ、離れたベンチで待たせたが、疲れてむずかる時は、やむなくおんぶして演説し、「これって違反なの?」と不安に思ったこともある。
落選後、どんなケースが違反となるか不明確な現行制度に納得できず、メディアを通じて自身の体験を発信した。昨年10月には、地方議員を目指す母親を支援する「こそだて選挙ハック!プロジェクト」を設立。育児と両立できる選挙活動のスケジュール作りなどで意見交換を重ねた。
■選挙活動中のマスクに悩む立候補予定者、外したら「高齢者のことを考えろ」…着けても非難
こうした活動は国会で取り上げられ、総務省は今年3月、15の具体例を挙げた子連れ選挙の指針をまとめ、各都道府県選管に通知。候補者や選挙スタッフの移動に子供が同行するだけなら「差し支えない」と認めた。
今回の統一地方選には、プロジェクトに参加する女性41人が挑戦。田村さんは「子育てしながらの選挙は制約が多い。恵まれた人でなければ出馬できない現状を変えたい」と話す。
◆高いハードル
そもそも育児中の親にとって立候補までのハードルが高い。
女性議員・候補者のサポート団体「Stand by Women」が昨年、育児中の地方議員ら21人に聞き取りをしたところ、立候補のために仕事をやめた結果、「就労中でなくなる」として、保育所から退所を求められたケースがあった。家族が選挙を手伝うために子供の世話に手が回らず、ベビーシッターを雇う人がいる一方、「シッターはお金がかかるし、地方では利用できない」との意見もあった。
東海大の辻由希教授(政治学)は「地方議員はこれまで高齢男性に偏っていたが、社会の多様化が進む今、様々な世代や背景を持つ人が議員になるべきだ。子育て世代の立候補が進むよう、政府には子供を預けて選挙に臨めるような環境整備を進めてほしい」と指摘する。
◆20~40代の議員、地方では少数派
各全国議長会の調査によると、全国の地方議会で、子育て世代にあたる20~40歳代の議員が占める割合は、都道府県議で28・7%(2019年7月現在)、市区議で19・5%(22年7月現在)、町村議で9・7%(同)にとどまる。子育て世代は議会内で少数派だ。
議会側が出産や育児、介護に配慮する取り組みは拡大している。各全国議長会などによる働きかけの結果、議会の欠席理由に「育児」を認めた市区町村議会は22年の調査で88%に達し、3%だった20年から大きく前進した。授乳や託児のスペースを設ける議会も増えているという。
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・総務省・公職選挙法・違反となる事例を具体的に示した】 2023年04月14日 14:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます