路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【新刊紹介】:「人権後進国」を変えていくための武器 藤田早苗『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』(集英社新書)を望月衣塑子さんが読む(レビュー)

2023-01-03 06:20:50 | 【人権・生存権・人種差別の軽視・被差別部落・国の強制隔離政策・ハンセン病患者】

【新刊紹介】:「人権後進国」を変えていくための武器 藤田早苗『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』(集英社新書)を望月衣塑子さんが読む(レビュー)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:「人権後進国」を変えていくための武器 藤田早苗『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』(集英社新書)を望月衣塑子さんが読む(レビュー)

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  武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別(集英社)

 ◆「人権後進国」を変えていくための武器

 いまの日本は「人権後進国」という言葉がしっくりくる。「失われた30年」は経済だけではない。人権もまた、すごい勢いで後退している。

 国際人権法を専門とする著者はこの本で、貧困や政治、表現の自由、女性の権利、入管問題など数々の分野で、日本がいかに国連機関からの勧告や懸念を無視してきたのか、学術的な視点から丹念に分析しつつ、課題を浮き彫りにしている。

 性暴力被害を訴えた伊藤詩織さんへの中傷や、官房長官会見での質問制限、名古屋入管で起きたスリランカ人女性の死亡など、私が取材に関わった事案も登場する。当時、著者の知見に大変支えられたが、この本を読むと、それらも「氷山の一角」でしかないことがわかる。

 背景には、政治家とメディアの責任があるように思えてならない。東京五輪では森喜朗・組織委員会会長の女性蔑視発言に批判が集中した。都知事のときの石原慎太郎氏もひどかった。重度障害者施設を視察して「ああいう人に人格あるのかね」と言い放ち、陸上自衛隊の式典で「三国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返す」と述べた。だが結局、メディアはこれらの発言を「○○節」などと“個性”の問題に矮小化し、免責に加担してきた。

 その石原氏が「次世代の党」時代に公認したのが杉田水脈(みお)氏だ。安倍晋三氏の庇護をうけて自民党に転じてからも、性的少数者について「生産性がない」などと評し、詩織さんを誹謗する25個のツイートに「いいね」を押すなど差別的な言動を続けてきた。そんな人物を、岸田政権は政務官に起用した。

 差別の容認は社会全体に波及する。著名ユーチューバーDaiGo氏は「ホームレスの命はどうでもいい」と語り、最近ではひろゆき氏が胃ろう患者の保険適用について「飯が食えない老人は自費で生き残るか諦めて」とツイートした。社会的弱者に対する差別や冷笑が、娯楽として消費される国は異常だ。

 人権後進国を変えるためには、差別を放置せず、権利保障のため声を上げなければならない。それには国際人権の正しい理解が「武器」になる。『武器としての国際人権』。25回ぐらい「いいね」を押したいタイトルだ。

 ■望月衣塑子 もちづき・いそこ

 ●東京新聞記者 [レビュアー]望月衣塑子(新聞記者) 1975年、東京都に生まれる。新聞記者。慶應義塾大学法学部卒業後、東京中日新聞社に入社。千葉支局、横浜支局を経て社会部で東京地検特捜部を担当。その後経済部などを経て社会部遊軍となり、官房長官記者会見での鋭い追及など、政権中枢のあり方への問題意識を強める。著書『新聞記者』(角川新書)は映画化され大ヒット。日本アカデミー賞の主要3部門を受賞するなど大きな話題となった。そのほか『武器輸出と日本企業』 前川喜平、マーティン・ファクラーとの共著に『同調圧力』などがある。

 ■青春と読書 2023年1月号 掲載

 【集英社新書】:武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別 著者: 藤田 早苗

武器としての国際人権
日本の貧困・報道・差別
著者: 藤田 早苗
 
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  • 発売日:2022年12月16日
  • 定価:本体1000円+税

 【推薦!】

 「『思いやり』に頼らず『国際人権』の実現を!日本を世界と未来へと拓く道標がここに 」
中野晃一 氏(政治学者、上智大学国際教養学部教授)

 「人権後進国を変えるためには、差別を放置せず、権利保障のため声を上げなければならない。それには国際人権の正しい理解が『武器』になる」
望月衣塑子 氏(東京新聞記者)

【国際人権の視点から日本を考える】

 私たちは、生活のあらゆる場面において人権を「行使」している。
  しかし、国際的な人権基準と照らし合わせてみると、日本では人権が守られていない。
 コロナによって拡大した貧困問題、損なわれ続ける報道の自由、なくならない女性の差別や入管の問題……そうした問題の根幹には、政府が人権を保障する義務を守っていないことがある。
 その状況を変えるためにはどうすればいいのか。
 国際人権機関を使って日本の問題に取り組む第一人者が、実例を挙げながらひもとく。

【目次】
第一部 国際人権とは何か

第一章 人権とは?——「思いやり」と「人権」は別物だ 
第二章 国際人権をどう使うか

第二部 国際人権から見た日本の問題 

第三章 最も深刻な人権侵害は貧困 
第四章 発展・開発・経済活動と人権 
第五章 情報・表現の自由 
第六章 男性の問題でもある女性の権利
第七章 なくならない入管収容の人権問題

【おもな内容】
◆生活保護のアクセスのしにくさが抱える問題
◆国連から問題視されている秘密保護法・共謀罪
◆メディアに必要な「独立性」と「連帯」
◆夫婦同一姓の強制は条約違反
◆国際人権法に反する日本の入管法
◆国連からの勧告を知ることで、これからの日本を変える

【著者略歴】
藤田早苗(ふじた さなえ)
法学博士(国際人権法)。
エセックス大学人権センターフェロー。
同大学で国際人権法学修士号、法学博士号取得。
名古屋大学大学院国際開発研究科修了。
大阪府出身、英国在住。
特定秘密保護法案(2013年)、共謀罪法案(2017年)を英訳して国連に通報し、その危険性を周知。
2016年の国連特別報告者(表現の自由)日本調査実現に尽力。
著書に“The World Bank, Asian Development Bank and Human Rights“ (Edward Elgar publishing)。

 元稿:集英社 主要出版物 【集英社文庫・集英社新書】 2023年01月03日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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