【社説・12.16】:オスプレイ飛行再開 欠陥機は退役するべきだ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.16】:オスプレイ飛行再開 欠陥機は退役するべきだ
運用停止が繰り返されるのは、欠陥機であることの証明だ。日米両政府はオスプレイの飛行を即時中止し、退役させるべきだ。
米海軍航空システム司令部は現地時間6日、米軍が使用する全種類の垂直離着陸輸送機オスプレイの一時的な運用停止を提言した。海軍、空軍、海兵隊が応じた。宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備されているMV22オスプレイも飛行を見合わせていたが、4日間の運用停止を経て、11日に再開した。
AP通信によると、今回の措置は11月20日に米西部ニューメキシコ州の空軍基地で墜落につながりかねない事故が発生したことを受けたものだ。機体内部の部品の金属疲労が関与した可能性があるという。
2023年11月、米空軍のCV22オスプレイが鹿児島県の屋久島沖で墜落、乗員8人全員が死亡した。報告書では、機体左側にある「プロップローター・ギアボックス」の内部で破断した歯車の破片で別の歯車がすり減り、ローターに動力が伝わらない状態になったことが原因としている。
APによると、破損した部品は異なるものの、今回のニューメキシコ州での事故に、屋久島沖での墜落事故との類似点が見つかったという。
全ての機体で起こり得る懸念がある。一時的であれ、米軍全体が運用停止の提言を受け入れたことは、相次ぐ事故を深刻に受け止めている故ではないのか。
オスプレイの事故は頻発しており、飛行停止措置も相次いでいる。22年8月にはクラッチに関する不具合が問題となり、米空軍が全てのオスプレイを飛行停止した。屋久島沖での事故後も全ての機体の飛行を停止した。いずれも一時的な措置だが、飛行停止と再開が繰り返されることは、構造的な問題が解消されていないためだと考えられる。
米民主党の連邦議会議員3人は11月末、オスプレイによる事故が相次いでいることを受け、米国防総省に安全対策が講じられるまでの間、飛行停止を求める書簡を出した。米国内からも安全性に疑いの目が向けられている。
今回の措置について、米側から日本側に十分な説明がなされたとは言い難い。陸上自衛隊のオスプレイが飛行を見合わせたのは10日からで、海兵隊が運用停止した6日から大幅に遅れた。
にもかかわらず、海兵隊機の飛行再開に対し中谷元・防衛相は「機体を徹底的に点検した上で再開したと説明を受けている」と容認する姿勢を示した。対米従属と言わざるを得ない。
飛行再開を容認することは、その真下にいる沖縄県民をはじめ日本国内の住民を危険にさらすことにほかならない。欠陥機の運用を続けることが、安全保障の面でも有用なのか疑問が湧く。乗員の生命すら危うい。欠陥機の飛行を容認してはならない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月16日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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