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【社説・08.05】:ハマス指導者暗殺 対話こそ中東には必要だ

2024-08-07 07:01:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【社説・08.05】:ハマス指導者暗殺 対話こそ中東には必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・08.05】:ハマス指導者暗殺 対話こそ中東には必要だ 

 パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏がイランで暗殺された。

 ハマスが活動するパレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルが関与したとされる。

 米国は、イスラエルのネタニヤフ首相にガザの早期停戦を強く求めていた。停戦交渉は近く再開される手はずだっただけに、交渉の中心人物であるハニヤ氏が殺された衝撃は大きい。

 ハマスやイランは報復を宣言した。中東の戦火がさらに拡大する恐れが高まっている。米国に対するネタニヤフ氏の回答が、指導者暗殺による停戦協議の破談だとすれば、許し難い暴挙である。

 イスラエルは直前には隣国レバノンの首都を空爆し、同国で活動する親イラン民兵組織ヒズボラの司令官も殺害した。国際社会の批判を無視するように、ガザ以外でもハマスやその連帯勢力であるヒズボラなどへの攻撃を重ねている。停戦よりも反対勢力を根絶やしにすることを優先しているとしか思えない。

 ハマスが昨年10月にイスラエル南部を襲撃し、1200人を殺害したことは確かに非難されるべき行為には違いない。だが、イスラエルはその報復としてガザ地区の病院や学校も攻撃し、女性や子どもを含めて4万人を殺害した。明らかな行き過ぎだ。

 そもそもイスラエルは「天井のない監獄」といわれる劣悪な環境のガザ地区に、多くのパレスチナ人を押し込めてきた。それが南部襲撃の元凶ではなかったか。

 1987年に結成されたハマスの創始者ヤシン師はイスラエルとの共存を認め、柔軟姿勢も見せていた。しかし、イスラエルはそのヤシン師や後継者のランティシ氏をミサイルで相次いで殺害した。暗殺を繰り返せば繰り返すほど、パレスチナ人は憎しみを増幅させ、ハマスが支持を拡大してきた経緯がある。

 そのことにイスラエルはなぜ気付かないのか。カタールのシンクタンク「紛争・人道研究センター」のムアイン・ラバニ氏が米紙に、イスラエルは暗殺はできても組織の根絶はできないと強調したのも当然だ。

 イスラエルの暴走は後ろ盾である米国にも責任がある。ガザの戦闘が長引いているのは、バイデン大統領がネタニヤフ氏を抑え切れなくなっているためではないのか。米国が今すべきは、イスラエル防衛のために艦隊を中東に派遣することではなかろう。

 イランも自制すべきだ。最高指導者ハメネイ師は「イスラエルに直接報復するよう」命じたという。しかし、イランが動けばハマスやヒズボラだけでなく、イラクの親イラン派民兵や、紅海で活動するイエメンの反政府武装勢力フーシ派もイスラエルへの攻撃を強める可能性がある。

 中東が全面戦闘状態になることは何としても避けなくてはならない。そのためには、強硬姿勢を崩さないイスラエルを翻意させる意思を、日本をはじめとする国際社会が明確に示すべきだ。中東の安定に必要なのは、まぎれもなく武力でなく対話である。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年08月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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