【小社会・12.16】:政治は違えど
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.16】:政治は違えど
選挙に勝って政治家になるには昔から「三バン」が必要と言われる。手元の国語辞典にも載っている。「すなわち、地盤(勢力)・看板(評判)・鞄(かばん)(金力)」であると。
昭和20年代の本紙紙面にも見受けられる言葉。一体、いつから引きずっている価値観だろう。政治参加の「足かせ」になりやすく、国会議員の世襲が増える背景だと指摘されてきた。
自民党のリーダー選びも伝統的に同じ面があった。小泉純一郎氏と橋本龍太郎氏の事実上の一騎打ちとなった2001年の総裁選。共同通信は当時、配信記事で「橋本氏は『三バン』が最大の武器」と紹介している。いずれも世襲議員で、結果は小泉氏が勝利したが。
その点、お隣韓国は民主化が1987年と遅かった分、足かせが少ないのかもしれない。政治経験が乏しい人も大統領候補に担がれて、実際に当選する。少しうらやましくなる。
ただし、選ばれた大統領が国民の期待に応えられるかどうかは別問題。そこが韓国政治の悩ましさだろう。検事から大統領に転身した尹錫悦(ユンソンニョル)氏は、軍や警察を動かして民主主義をねじ伏せる「非常戒厳」の愚行に出た。
尹氏の弾劾案が可決された。韓国政治の激しさを見ていると、日本が穏やかに見えるが、日本の政治もまた「政治とカネ」など闇が深い。日韓の政治は歴史や制度に違いがあっても、成熟度は共に悩ましい。どこを向いて政治をしているのだろうか。
元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】 2024年12月16日 05:00:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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