【HUNTER・02.05】:西元健福岡県議の関連2団体、経常経費「0」への疑念
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・02.05】:西元健福岡県議の関連2団体、経常経費「0」への疑念
違法ポスターや違法看板を選挙区内に掲示し、公職選挙法違反の疑いが持たれていた西元健福岡県議会議員(築上郡・豊前市選挙区。自民。当選4回)側の政治資金収支を調べたところ、同一住所内の建物の中に3つの自民党支部と西元氏の後援会が入居し、うち二つの団体が事務所家賃を含む経常経費を「0」として報告していることが分かった。
■三つの自民支部が同居
豊前市内にある西元氏の事務所には以下の4団体が入居している。
・自由民主党福岡県豊前市・築上郡第一支部
・自由民主党豊前築上支部
・西元健後援会
・自由民主党福岡県第十一選挙区支部
「自由民主党福岡県第十一選挙区支部」は、同区を地盤とする前衆議院議員が代表を務める団体。「自由民主党福岡県豊前市・築上郡第一支部」と「自由民主党豊前築上支部」は西元氏が代表だ。「西元健後援会」は同氏の支援団体である。
各団体の政治資金収支報告書と西元氏が県議会に提出した政務活動費の支出内容を確認していくと、不透明な資金処理の実態が見えてくる。
■「実質的活動実態なし」としながら組織対策費支出
まず、「自由民主党豊前築上支部」と「西元健後援会」の経常経費は、令和4年、令和5年ともに「0」。人件費も光熱水費も、事務所家賃さえも計上されていない。では事務所の家賃や光熱費はどの団体が支払っているのか――西元氏側に確認を求めたところ、次のように回答があった。
・家賃の内の月6万円 ⇒ 政務活動費から3万円、自由民主党福岡県第十一選挙区支部から3万円で按分。
・家賃の内の5万円 ⇒ 自由民主党福岡県第十一選挙区支部が貸主に直接支払い。
・ガソリン代、通信運搬費、茶菓代、備品購入費、新聞購読料 ⇒ 政務活動費と自由民主党福岡県豊前市・築上郡第一支部で按分。
・光熱水費 ⇒ 政務活動費と自由民主党福岡県第十一選挙区支部で按分。
問題の事務所は自由民主党福岡県第十一選挙区支部と共同使用となっているため、家賃についてはこうした支出実態になるという。衆議院の自民党選挙区支部と西元氏が代表を務める自民支部、そして政務調査費という三つの財布で家賃を賄っている形だ。なんとも複雑な関係である。
次に、西元健後援会と自由民主党豊前築上支部の経常経費が「0」となっていることについての説明はこうだ。
《自由民主党豊前築上支部、及び、西元健後援会につきましては、所在地を豊前市大字八屋1892‐2松井ビル2階にしておりますが、事務所での実質的な活動実態はなく、郵便物等の受け取りのためだけに事務所所在地としているもので、家賃を計上しておりません》(*質問書への回答。原文のママ)
豊前築上支部と西元後援会は「実質的な活動実態」がないというのが西元氏側の説明だが、「わかりました」とうなずくわけにはいかない。下は、西元氏側関連3団体の経常経費と「政治活動費」を表にしたもの。豊前築上支部は、令和3年に605,044円を政治活動費の中の組織対策費として支出。同様の形で4年に480,097円を、5年には329,471円を支出していた。当然、活動実態がないという説明には疑義が生じる。しかも、同支部は令和3年に382,850円 4年に125,450円、5年に257,400円の「会費」を集めている。この点も、活動実態がないという説明とは合致しない。
■政治活動費、すべて5万円未満で詳細不明
さらに疑念が持たれるのは、支出実態が不透明な点。西元氏が代表の自由民主党福岡県豊前市・築上郡第一支部と「実質的な活動実績」がないという自由民主党豊前築上支部の両団体は、毎年、組織対策費の名目で約28万円から約94万円あまりを支出している。しかし、いずれの団体も支出先や支出年月日など詳細な記載が必要となる5万円以上のものは皆無。「その他の支出」として総額が記されているだけだ。相手先や使途が分からない政治活動費の合計は、3年間で3,180,533円にも上る。ただちに違法とは言えないが、不透明であることに違いはない。
問題はまだある。西元氏は、令和5年3月31日告示、4月9日投開票の日程で行われた福岡県議会議員選挙において無投票で4期目の当選を決めた。その選挙では、同年3月4日に「事務所開き」と称して人を集めており、別の自治体の地方議員がネット上に投稿した当日の写真も残っている(*下参照)。
西元氏の選挙運動費用収支報告書及び領収書(*下の画像)を確認したところ、当該事務所の借り入れ期間は3月3日から4月2日まで(*無投票当選だったため投開票を待たずに選挙事務所を閉めたとみられる)。3日に物件を借り入れ、翌日には大勢の客を呼んで事務所開きを実施したということだ。何の問題もないと思いがちだが、法的には疑念が残る。
同年3月4日は告示前であるため「選挙運動」はできない。やれるのは「政治活動」であって、後援会か政党支部の活動に限られる。しかし、当該事務所の家賃は「選挙運動費用(立候補準備)」として処理されているのだ(*下の収支報告書参照)。
つまり、同年3月3日から告示前日の3月30日までの事務所賃料は、西元健後援会の収支にも、自由民主党福岡県豊前市・築上郡第一支部の収支にもカウントされていないということになる。繰り返しになるが、この期間に選挙運動はできない。事務所開から告示までの間、問題の事務所では一体どのような活動を行っていたというのだろうか――?
ちなみに、西元氏は昨年12月、「事務所開き」を行っている。目的が豊前市長選に向けての地盤固めにあることは明らかだが、事務所開きを含めた同氏の動きが、あくまでも「後援会活動」の一環であることは、公式サイトやSNSでの情報発信元がすべて「西元けん後援会」となっていることからも分かる(*下の画像参照)。すると、令和5年3月の「事務所開き」とその日から告示前日までの動きも、後援会活動の一環だったとみるのが普通だろう。
この際、もう一つ問題提起しておきたい。西元氏が豊前市長選出馬を表明したのは昨年8月。県議を辞職して背水の陣を敷くものと思っていたが、辞職願は提出されておらず、いまだに議員バッジをつけたままである。税金が原資の県議報酬で市長選に向けた活動を行っている格好だ。西元氏が「矜持」という言葉を知っているなら、政治家として筋を通すべきだろう。
年をまたいで自民党を揺さぶり続ける「政治とカネ」。裏金や使途不明金が違法性を問われるのはもちろんだが、世間と大きくズレた政治家の姿勢そのものに批判が集まっているのも事実だ。
訂正(2025年2月5日12時01分)
記事中の「相手先や使途が分からない政治活動費の合計は、3年間で3,180,533円にも上る。」という箇所は誤植のため当初「3,180,5333円」となっておりました。3,180,533円が正確な表記です。
訂正してお詫び申し上げます。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・地方自治体・福岡県議会議員を巡る「政治とカネ」疑惑】 2025年02月05日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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