【社説②】:プラごみ削減 使い捨て文化見直しを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:プラごみ削減 使い捨て文化見直しを
プラスチックごみの削減を目指す新法「プラスチック資源循環促進法」が4月に施行される。
政府は先月、事業者に削減を義務付ける使い捨てプラスチック製品12品目を政令で定めた。
スプーンや歯ブラシなど身近な製品ばかりだ。コンビニやホテルなどの事業者は代替品の利用促進をはじめ対策を急ぐ必要がある。
同時にプラごみの発生を抑制したり、できるだけ回収して再資源化したりすることが求められる。
消費者の行動も鍵を握る。使い捨てが当然という意識や生活様式の見直しが欠かせない。
プラごみによる海洋などの環境汚染は深刻さを増しており、対策は国際的な課題となっている。
今回の対象製品が国内のプラごみに占める割合はわずかだが、地道な取り組みを社会全体の脱プラスチック推進につなげたい。
12品目にはストロー、ナイフ、ヘアブラシ、カミソリ、ハンガーなどもある。小売店や宿泊施設、クリーニング店などで利用され、日常生活に深く浸透している。
こうしたプラ製品を前年度に計5トン以上提供した事業者は削減目標を定め、提供する方法を見直すことが義務付けられる。対策が不十分な場合には社名公表や改善命令、罰金の対象となる。
気がかりなのは業界や事業者ごとの削減量の取り決めがない点だ。規制が名ばかりにならないよう環境省は留意する必要がある。
事業者は削減策を選択できる。有料化や代替素材への転換、提供を辞退した客へのポイント還元、再利用できる製品の提供などだ。
木製スプーンを提供し始めた大手コンビニや、ブラシなど備品の有料化に踏み切ったホテルチェーンもある。事業者は可能なものから積極的に着手してもらいたい。
メーカー側も規制を逆手に取ってはどうか。例えば植物由来のバイオマスプラスチック、微生物が分解できる生分解性プラスチックの導入を進めれば、技術力や企業イメージの向上につながろう。
プラごみ削減で先行したのは2020年7月に始まったレジ袋の有料化だ。普及するか懸念もあったが、4人に3人が店頭での受け取りを辞退するまでに浸透した。
今回の規制を消費者の意識を変え、プラスチックに依存する社会を見直すきっかけとしたい。
軽くて丈夫なプラ製品は便利な半面、いったん環境に排出されれば半永久的に残存し、生態系を脅かし続ける。生産や使用を減らしていくしか未来への道はない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年02月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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