【社説①】:衆院3補選 不戦敗が自民の劣化を物語る
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:衆院3補選 不戦敗が自民の劣化を物語る
政権を担う政党が、選挙で有権者に選択肢を示せないのはあまりにふがいない。かといって野党への期待が高まっているとも言い難い。
今回の補欠選挙の構図は、日本の政治がいかに深刻な状況に陥っているかを物語っている。
衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補選が告示された。自民党の派閥の政治資金規正法違反事件が表面化してから、初の国政選挙だ。来年10月の任期満了までに行われる次期衆院選の前哨戦にも位置付けられている。
選挙結果は、岸田首相の解散判断だけでなく、内閣の命運にも影響を与えそうだ。
自民は、元議員が政治とカネの問題で辞職した東京15区と長崎3区については劣勢とみていずれも不戦敗とし、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区だけ新人を擁立した。島根1区は、立憲民主党の候補と一騎打ちとなった。
東京15区では、立民や日本維新の会のほか、小池百合子東京都知事に近い政治団体が擁立した候補らが乱立した。長崎3区は立民、維新の野党対決となった。
不戦敗は、国民に選んでもらうに値しない、と自ら認めたことになる。信頼を取り戻したいのであれば、不祥事を反省し、なすべき改革を断行したうえで、候補者を擁立して地道に支持を訴えていくのが筋だろう。
つい最近まで「1強」と呼ばれた自民が 躓 いた原因は、派閥の政治資金規正法違反事件だ。ただ、事件を踏まえ、真相解明や法改正に誠実に取り組んでいれば、ここまで党勢が衰退することはなかったのではないか。
一方、立民など野党も不満の受け皿になれていない。
野党は、原則非公開の政治倫理審査会へのテレビ入りにこだわった。安倍派の議員らを追及する場面を中継して自民を 貶 めようとしたようだが、独自の追及材料もないため解明が進まず、かえって国民の不満を高めてしまった。
少子化対策など社会保障に関しては、負担増に反対するばかりだ。大衆迎合的な主張は、国民に見透かされていよう。
読売新聞の全国世論調査では、「支持政党なし」と答えた人が2か月連続で5割を超えている。昨年10月に行われた衆院長崎4区、参院徳島・高知選挙区の両補選とも、投票率は過去最低だった。
無党派層の増大や低投票率は、政治が有権者に見放されつつあることを示している。その責任は与野党双方にある。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年04月17日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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