路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・01.12】:首相が被団協と面会 日本は核抑止と決別を

2025-01-14 04:00:35 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【社説・01.12】:首相が被団協と面会 日本は核抑止と決別を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.12】:首相が被団協と面会 日本は核抑止と決別を 

 石破茂首相は8日、昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員田中熙巳(てるみ)さんらと官邸で面会した。被団協側は、3月に米国で開かれる核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を求めたが、首相は是非を明言しなかった。

 被団協は、相手や目的に関係なく核兵器を脅しに用いる国々を批判し、核なき世界を訴え続けてきた。その普遍的な立場こそ、国際社会が日本に求める姿であることを今回のノーベル平和賞は示した。

 石破首相が受賞の意義をたたえるならば、核兵器は抑止力になるという考え方と決別しなければならない。日本政府は一刻も早く条約締約国に加わり、核廃絶の実現を主導する責任がある。

 核兵器の開発から使用までを全面禁止する核兵器禁止条約は、前文に英文で「ヒバクシャ」と明記している。唯一の戦争被爆国である日本の体験が原点となった条約だ。

 14歳の時に被爆し、1982年に被爆者代表として初めて国連本部で演説した故山口仙二さんは、やけどの痕が残る自分の写真を見せながら「ノーモア・ヒバクシャ」と全ての核廃絶を訴えた。2017年に核兵器禁止条約が国連で制定されると、被団協の呼び掛けで全ての国に条約への参加を求める「ヒバクシャ国際署名」は1370万2345筆が集まった。

 条約に批准した国・地域は50に達し、21年に発効を迎えた。しかし、この国際協定に米国などの核保有国ばかりか、被爆国である日本が参加していない。オブザーバー参加にすら後ろ向きだ。

 日本政府が依然として条約に批准しないのは、米国の「核の傘」への依存を認めているからに他ならない。石破首相が米国の核を日本に配備する「核共有」に言及するなど、非核三原則まで揺らぎつつある。

 石破首相は面会で「ノーベル平和賞受賞は極めて意義深い」と述べる一方で、日本が核保有国に取り囲まれているといった安全保障環境の話題を出すなどしたという。核抑止の立場を表明しながら、受賞に祝意を示すのは、被爆者を欺く振る舞いではないか。

 代表委員の一人、田中重光さんは「ノーベル平和賞を受賞しても、一番変わらないのは日本政府。がっかりだ」と話した。それでも被団協側は核兵器廃絶に向けた対話を続けるため、改めて首相と面会したい意向を示した。

 戦後80年を迎え、被爆の実相を直接語れる人たちは限られてきている。24年3月末で国内の被爆者数(被爆者健康手帳所持者数)は10万6825人となり、前年から6824人減った。平均年齢は85歳を超えた。

 核なき世界を願う被爆者の歩みに次世代も連なり、核兵器禁止条約の参加へと政府を動かす声を上げていかなくてはならない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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