《余録・01.03》:年の瀬、自宅マンションの自治会が…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.03》:年の瀬、自宅マンションの自治会が…
年の瀬、自宅マンションの自治会が開いた餅つき大会に参加した。子どもの頃に祖父の家で見たことがあるだけで、きねを持つことすら初めてだ。ついた後は体の節々が痛くなった
▲30年以上前から続く年末恒例の親睦行事だが、ガスバーナーなどの火器を使うことで、災害時の非常用品を点検する役割も担う。近所とのつながりが希薄になっているご時世に、住民同士が顔見知りになる機会を提供する場でもある
▲発災時に東京都内では約4700カ所の避難所が開設されるが、収容できるのは約320万人。人口の2割強に過ぎない。都は耐震基準を満たしたマンションも避難拠点として位置付けている。都内の住居の約7割は共同住宅で、約900万人が居住する
▲建物が頑強でも、停電でエレベーターが止まったり、水洗トイレが使えなかったりすれば、困難な生活を強いられることに変わりはない。炊き出しや備蓄、障害がある人など災害弱者の支援には、隣近所との助け合いが不可欠だ
▲とりわけ築年数がたったマンションや団地には高齢者が多い。共助の考え方を共有できるかが問われる。災害に見舞われないとしても、建て替えや売却が現実的な課題となってきた。住民同士のつながりを欠いた状態では物事は進まない
▲かつては自宅周辺のマンションの多くで行われていた餅つきも、高齢化で減ったという。ご近所付き合いは少し面倒かもしれないが、緊急時にこそ発揮されるコミュニティーの力に思いを致した伝統行事である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月03日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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