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【社説・11.25】:危険運転の要件見直し 国民感覚に沿った議論を

2024-11-26 07:00:30 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説・11.25】:危険運転の要件見直し 国民感覚に沿った議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.25】:危険運転の要件見直し 国民感覚に沿った議論を 

 自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪の在り方を議論する法務省の有識者検討会が報告書のたたき台をまとめた。

 飲酒や高速度運転の悪質性を重視し、適用条件に飲酒量や速度の数値基準を設けることなどが示されている。

 これまで危険運転の適用は線引きが不明確で、悪質としか思えない事例も過失運転として処罰されることが少なからずあった。たたき台は「処分が軽過ぎる」と感じる交通事故遺族の思いに応える点でも評価できるものだろう。

 ただ数値基準だけで問題は解決できない。国民感覚にかなう基準はどうあるべきか。議論を深めてもらいたい。

 危険運転致死傷罪は飲酒や高速度、信号無視などが招いた死傷事故で特に危険、悪質なケースに適用されてきた。懲役20年が刑の上限になっており、懲役7年の過失運転致死傷罪よりはるかに重い。

 故意と過失で量刑に大きな差があるのは分かる。だが、二つの罪の要件の違いは「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」「進行を制御することが困難な高速度での走行」といった曖昧な内容にとどまってきた。

 処罰に柔軟性を持たせる狙いがあることは否定しない。ただ、検察庁が2022年に過失運転とした28万件余りに対し、危険運転はわずか454件。よほど悪質性がない限り、危険運転に問われてこなかったことも事実である。

 大分地裁では今、時速194キロの車が交差点で対向の右折車と衝突した死亡事故の公判が進んでいる。猛スピードでの走行が過失運転とはとても思えない。それでも被告側は「直線道路で車線をはみ出さずに走行できていた」として危険運転ではなかったと主張しているようだ。

 三重県では法定速度60キロの道路を時速146キロで走った車の死亡事故で、危険運転罪の適用が裁判で認められなかった。こうした事例を繰り返してはなるまい。

 たたき台では飲酒運転、高速度運転への数値基準のほか、ドリフト走行なども新たな処罰対象に追加するよう示している。しかし、危険運転と認定する速度や飲酒量の基準をどう定めるかでは意見が分かれているようだ。

 数値基準を厳格に線引きすれば、むしろ基準を下回った悪質な運転を摘発できなくなることも考えられる。とりわけアルコールの摂取量は個人差が大きい。基準超えだけでなく、下回った場合でも個別に判断できるように、基準を「二段構え」とするような想定が必要だ。

 危険運転致死傷罪は、1999年に東名高速道で起きた飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故を契機に新設された。

 悲惨な事故が起きるたびに最高刑を懲役20年に引き上げたり、刑法から自動車運転処罰法として独立させたり、あおり行為なども処罰対象に加えたりしてきた経緯がある。

 それでも痛ましい事故はなくならない。厳罰化に頼るだけでなく、どうすれば事故を減らしていけるのか。社会全体で考えていく課題だろう。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月25日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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