【シニアのためのマネー講座】:“大谷騒動”を経済学で考えると…「囚人のジレンマ」を思い出す
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【シニアのためのマネー講座】:“大谷騒動”を経済学で考えると…「囚人のジレンマ」を思い出す
「一平さん、ここは罪を全部、かぶってください!」
ショウヘイがそう言ったかどうかは分からない。しかし、これまでの野球人生のなかで、彼が最大のピンチを迎えていることは間違いなさそうだ。だって、1000億円もの金が、一瞬にしてパーになりかねないからである。
<picture></picture>
合理的な選択だった?(C)ロイター
日本人のファンの多くは翔平が「無実」であることを信じている。逆に大金を盗まれた最大の被害者、彼に同情する声も少なくない。
一方、現地アメリカでは厳しい見方をする人もいる。「なぜ、一平は翔平の口座にアクセスできたのか?」「一緒に違法業者に送金したのではないか?」
こういった状況を目の当たりにすると、経済学に心得があるものならば、すぐに「囚人のジレンマ」を思い出す。誤解を避けるために言うが、彼らが「囚人」という意味ではない。経済学のゲーム理論の「単なる名称」である。
その内容は、お互いに「合理的な選択」をしたにもかかわらず、結果的に「不幸」を引き寄せてしまう、といったものだ。囚人がともに「黙秘」すれば2年の刑期で済むのに、個人の利益を追求(自白を選択)してしまうと、2人とも10年の刑が確定してしまう--そういったものである。
今回、水原氏は「すべては私の責任」と答え、翔平は「一平さんに盗まれた」と証言した。「犯人は水原氏のみであり、翔平は完全に無実」と、2人とも“同じ内容”を説明したことになる。
しかし、これを「囚人のジレンマ」に当てはめると、お互いに「不幸な結果」を引き寄せてしまうのではないか……そう思えてならないのだ。
もちろん真実はどこにあるか分からない。でも、お互いが「最善」と思った選択肢が、結果的に「不幸」を引き寄せてしまう可能性は十分にある。「ゲーム理論」はそう教えてくれる。
シニアの皆さんも、ケタの違いこそあれど、同様のシチュエーションを、数多く経験したことだろう。そしてこれからも経験することになるだろう。人生はそれくらい選択肢が多い。自分にとって「最善」だと思ったとしても、結果的にそうならないケースもあるということだ。
全体の利益を考えられる器量を持ち、シニアとして尊敬される振る舞いをするようにしたい。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース】 2024年04月04日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます