【天風録・11.02】:白いシカ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.02】:白いシカ
稲や野菜、果樹を食い荒らしたり森林の下草をむさぼったり…。広島市の可部地区では近年、シカによる農作物被害が深刻さを増している。車を見てもすぐ逃げないから交通事故も引き起こす。これでは、白い目で見られても仕方なかろう
▲こちらは、冷たい視線を浴びなくて済みそうだ。可部の太田川河川敷、茂みの中にいた全身が白いシカ。突然変異で白くなった個体は珍しく、全国でも年に1頭拝めるかどうか。目撃者によると、神秘的だったという
▲奈良では、白いシカが大切にされている。春日大社を建立した時に、神様を乗せて遠い関東からやって来たとの言い伝えがある。確かに、幸運を連れて来てくれそうだ
▲広島県世羅町の宇津戸地区では「地域の戦を止めた神様」として、白いシカがあがめられてきた。700年ほど前に、境界争いを終わらせるきっかけをつくった。地域の守り神として、今も語り継がれているのがいい
▲手塩にかけた農作物を食べまくるから、たとえ海の向こうでも歓迎されることはあるまい。では、争いを止めてくれる白いシカなら、どうだろう。戦火が一刻も早くやむよう願っているのは、ガザの子どもたちだけではないはずだ。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月02日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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