路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①】:保護司殺害 更生支援の柱守りたい

2024-06-14 07:47:50 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【社説①】:保護司殺害 更生支援の柱守りたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:保護司殺害 更生支援の柱守りたい

  
 大津市でレストラン経営のかたわら保護司を務めてきた新庄博志さん(60)=写真=が刺殺された事件で、新庄さんが更生支援を担当していた男(35)が逮捕された。男は強盗の罪で有罪判決を受け、保護観察中。新庄さんの自宅で面談中に犯行に及んだとみられる。保護司はボランティアで対象者の更生を手助けする篤志家だけに、事件の衝撃は大きい。現場の不安払拭のため、法務当局は速やかに必要な策を講じてほしい。
 
 男は2018年にコンビニ店での強盗容疑で逮捕され、執行猶予5年の判決を受けた。新庄さんは06年から保護司をしており、19年に男の担当となった。男は容疑を否認しているというが、自身の交流サイト(SNS)に、新庄さんを指すとみられる保護司との面談への不満を書き込んでいた。
 
 仕事先や警察、司法への反発、批判も投稿しており、それらをないまぜにして新庄さんにぶつけた可能性もある。保護司が支援対象者に殺害される事件は1964年以来というが、男はなぜ5年間の「交流」の果てに殺意を抱くに至ったのか。捜査での解明を望む。
 
 保護司は無給の国家公務員。天竜川の治水事業で知られる遠州の実業家、金原明善らが明治期に私財を投じて始めた出所者らの更生保護事業が、その嚆矢(こうし)とされる。罪を犯した人や非行少年らが立ち直り、社会生活を送れるよう、住まいや就職の世話をしたり、月何回かの面談をしたりする。各地の保護司会の推薦で人選されるのが一般的という。
 
 この事件で、更生に励む人一般への偏見が高まることがあってはならないが、保護司と対象者との面談は自宅を避け、保護司の活動拠点「更生保護サポートセンター」を使うといった対応策を求める声もある。現場の意見を丁寧に聞き、必要な措置を講ずべきだ。
 
 ただでさえ保護司のなり手不足は深刻で、事件の影響が懸念される。法務省は再任の上限年齢引き上げなどで要員確保を図るが、定数未満の地区も多い。初めて保護司になる人は「66歳以下」の規定があるが、引き上げてはどうか。そもそも、このまま市民の篤志頼みでいいのかという問題もある。有給制や公募制も含め、保護司制度を巡る議論を深めてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月13日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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