《社説①・10.27》:北朝鮮の対露「派兵」 戦況激化招く危険な加担
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・10.27》:北朝鮮の対露「派兵」 戦況激化招く危険な加担
国際秩序を踏みにじる侵略に手を貸す行為である。断じて許されない。
韓国の情報機関である国家情報院によると、北朝鮮の特殊部隊3000人がウラジオストクなどのロシア軍基地に入った。派兵規模は年末までに1万人に達する見込みだという。米国のオースティン国防長官も「ロシアに北朝鮮軍がいる証拠がある」と語った。
事実上の同盟関係を復活させる条約の署名式で握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記=平壌で6月19日、AP
北朝鮮とロシアは6月、有事の際の相互軍事支援をうたった条約を結び、冷戦時代の同盟関係を事実上復活させた。
ウクライナでは、北朝鮮製の砲弾やミサイルなどの使用が確認されている。派兵が事実とすれば、協力のレベルは一段と上がったことになる。
背景にあるのはロシア軍の兵員不足だ。2022年の侵攻開始以降に出た戦死者や重傷者は25万人を超えるとの分析もある。
ウクライナの最前線に北朝鮮軍兵士が投入されれば、形勢がロシア有利に傾きかねない。戦況が激化し、犠牲者が増えることが懸念される。
北東アジアの安全保障に及ぼす影響も甚大だ。北朝鮮には、この機に乗じてさらなる軍事力増強を図ろうという思惑があるとも指摘されている。
ミサイルの実戦使用で得られるデータは今後の開発に有用だ。兵士の練度を上げることもできる。派兵の見返りに、ロシアから高度な軍事技術の提供を受ける可能性もある。
国連による対北朝鮮制裁が完全な機能不全に陥る恐れも高まっている。
ロシアは一昨年、国連安全保障理事会での追加制裁決議案に拒否権を発動し、今春には制裁の履行状況を監視してきた安保理の専門家組織を廃止に追い込んだ。
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