路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER・僭越ながら「論」・01.30】:【フジテレビ会見】:質問者たちの暴走と文春の誤報

2025-02-04 07:05:10 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【HUNTER・僭越ながら「論」・01.30】:【フジテレビ会見】:質問者たちの暴走と文春の誤報

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・僭越ながら「論」・01.30】:【フジテレビ会見】:質問者たちの暴走と文春の誤報 

 近年稀にみる不愉快な記者会見だった。中居正広氏の問題に絡んで今月27日に開かれたフジテレビの会見である。気持ちを暗くさせたのはフジテレビ側ではなく会見場でわめき散らしていた一部の人間たち。その連中がジャーナリズムとは無縁の糾弾を続け、なんのための会見か分からなくしてしまった。大手メディアの不祥事を追及する側が低レベルのバカ騒ぎで醜態を晒した格好だ。フジテレビに人権がどうのと迫りながら、自らが人権を踏みにじる自称ジャーナリストたちを咎められないフジテレビ以外の大手メディア――。これも、情けないと言うしかない。

 ■フジテレビ幹部にも「人権」はある

 27日午後4時に始まったフジテレビの会見は、日をまたぐまで延々と続けられ10時間半。休憩は15分を1回だけという異常な状況だった。会見場に集まったのは400人を超す人たち。ここで「記者たち」であるとか「報道関係者」と書かず「人たち」とするのは、人権やルールを無視して騒ぎ立てた連中がまともな報道関係者とは思えないからだ。よく言えば「目立ちたがり屋」、違う表現をするとすれば「売名行為者」だろう。

 最初に述べておくが、休憩わずか1回で10時間半ぶっ通し会見というのは明らかに人権侵害だろう。1月17日におこなわれた1回目の会見で、参加者を新聞・テレビなどに限定し、動画撮影を認めないなど説明責任を果たそうとしなかったフジテレビが悪いとはいえ、5~6人のフジテレビ幹部と対峙していたのは400人を超える会見参加者。フジの幹部たちに対しても、人としての尊厳や体調を気遣うくらいの配慮はあって然るべきだった。

 殺人犯の取調べでも三度の飯は出る。しかしフジテレビの会見では夕食もスルー、休憩は1回だけという過酷さ。追及する側は離席自由だろうが、フジテレビ側はそうもいかない雰囲気だった。確かに、フジテレビ幹部は責められて当然の愚行を犯したのかもしれないが、それとて詳細は「第三者委員会」の調査結果を待つしかないのが現状だろう。人権の問題に端を発した事案ならばこそ、守らなければならないものがあったはずだ。フジテレビの幹部にも人権はある。

 ■読者、視聴者置き去り

 見慣れた光景とはいえ、この国で「報道」を名乗る媒体や人種による集団的な過熱取材には反吐が出る。今回は、そこに人権や正義を振りかざして自己主張しようとする人間が何人も登場したのだから始末に負えない。「答えろ!」「逃げるな!」――質問ではなく不規則に怒号を放つ連中の行為は、報道とは無縁の暴力だ。彼らの愚行は自己満足のためでしかなく、読者や視聴者のためではあるまい。これでは、加熱する一方となっているSNSの暴力的な情報発信を批判することなどできまい。

 質問者たちのレベルが低すぎるのか、幼稚な質問をさせた媒体の問題なのか分からないが、違うメディアに所属する会見参加者が、ほぼ同じ内容を繰り返すことにもウンザリさせられた。いずれも、フジテレビの社長、会長を務めた相談役の日枝久氏のことについての質問だった。日枝氏が会見に出てこないことをなじり、中居氏の問題との関わり合いを問い質す何人もの記者たち。フジテレビ側の答えは当然同じなわけで、“人の話を聞いていないのか”“無意味な時間だな”と感じた視聴者は少なくなかったはずだ。

 一部の会見参加者の居丈高な振る舞いや感情に走った物言い、会見のルールを無視したヤジ、非合理な追及――そもそも「公共の電波」を使って、こうまで下らない会見を流し続ける意味があったのか疑問だ。

 とくに酷いと感じたのが、問題になった事案に対する中居氏と被害を訴えたとされる女性の見解を確認しようとする質問と質問者の態度。同意があったかなかったのかについて「二人の話は一致していたのかどうか」をしつこく尋ね、フジ側が「答えられない」と“答えても”、「一番大事なところ」「答えないと会見の意味がない」と食い下がった。

 合意か不合意かについてフジテレビが答えられるわけがない。中居氏と女性は法的には「和解」しており、その点は双方の当事者が認めている。ただ、和解の内容については守秘義務が課されており、事案の内容を第三者であるフジテレビ側が明かすことはできない。会見の場で女性と中居氏の言い分が開示されれば、女性に対する二次被害が発生する可能性さえある。どのような経歴をお持ちか知らないが、「一致、不一致」に拘った人の態度は決して褒められたものではなかった。

 唯一“救いだな”と思ったのは、不規則発言や一方的な主張の押し付けを続ける連中に対し、冷静かつ誠実な態度でたしなめる報道関係者が複数いたことだ。疑惑解明も新たな事実の発掘もできない会見だったが、その場面では思わず手をたたいた。

 ■会見を見た「記者」たちは……

 では、テレビの画面越しに会見を見ていた現役記者たちはどう思ったのか――見解をうかがった。

兵庫県知事選や「石丸現象」で、新聞やテレビが「オールドメディア」と一括りにされ、SNSなどで批判される風潮が強まる中で、フジの最初のひどすぎる会見がそれをさらに加速させたことを強く危惧していました。2度目の会見で、少しでも信頼回復につながればと思っていましたが、さらに事態を悪化させてしまったことに歯がゆい思いです。ジャーナリストたちが、現場取材と蓄積した知識を基に取材対象者と真摯に向き合い、理性的に事実を追求して本質をあぶり出す場が記者会見の場だと考えてきましたが、玉石混淆のネット空間を体現したような約10時間半でした。私自身は閉鎖的な記者クラブ制や、会見を開く側が一方的に打ち切るやり方には反対ですが、今回を悪例として企業や行政側が時間や出席者を制限する流れにつながりかねないことを懸念します。ジャーナリズムが信頼を取り戻すために、現場の記者である私たちに何ができるか、何をすべきかをしっかりと考えていきたいと思います。(地方紙記者)

残念な会見だったというしかないですね。視聴者が知りたいのはフジテレビが中居さんの事案とどう向き合い、これから先、失った信頼をどう取り戻していくかという点。何人もの記者が、氏家さんについて同じような質問をしていましたが、『氏家さんって何なの?』と思った視聴者は少なくなかったんじゃないですかね。氏家さんがフジテレビで絶大な権力を持っていたのは事実でしょうが、だからといって『氏家を出せ』ということにはならない。会見の目的、報道が聞くべきことは他にもあったはずですから。自分の所属媒体がこの件を報じる時に、『こう聞いたところ、フジ側は次のように答えました』というアリバイを残したいばかりに、同じような質問が相次いだんでしょう。つまり、視聴者や読者のために聞いているんじゃなくて、それぞれの質問者の所属媒体のために質問しているということ。多分、多くの国民に見抜かれてますね」(テレビ局職員)

 ■誤報「文春」の無反省

 それにしても、この問題についての記事を連発してきた週刊文春の姿勢には呆れた。文春はそれまで、問題の事案があった日の被害女性のことについて『X子さんはフジの編成幹部A氏に誘われた』(12月26日発売号の記事)と断定していた。しかし、フジテレビ会見の翌日となる28日になって《その後の取材により『X子さんは中居に誘われた』『A氏がセッティングしている会の”延長”と認識していた』ということがわかりました」と公表。文春オンライン上での編集長の言葉は《「週刊文春 電子版」の当該記事に、訂正を追記しました。改めてお詫び申し上げます。》 だった。しかし、誤報に真摯に向き合っていないのは、この後に続いた一文で明らかだ。

 《ただし、第2弾以降で報じてきた通り、事件直前、フジ編成幹部のA氏はX子さんを中居氏宅でのバーベキューに連れて行くなどしています。またX子さんも小誌の取材に対し、「(事件当日の会食は)Aさんがセッティングしている会の“延長”だったことは間違いありません」と証言しています。以上の経緯からA氏が件のトラブルに関与していた事実は変わらないと考えています。》

 書きっ放しで済むのが週刊誌だと宣言したようなものだが、中居氏の問題を引き起こしたのがフジテレビの職員だったという見立てに疑念が生じたのは事実。フジテレビ幹部を糾弾した異例の長時間会見に空虚さが漂う展開となった。文春砲が「空砲」をぶっ放したかたちだ。

 そろそろ、この原稿を書くこと自体が嫌になってきた。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【僭越ながら「論」・フジテレビ・週刊文春】  2025年01月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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