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【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長

2024-08-25 06:42:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長 

 鹿児島県警の本田尚志元生活安全部長が北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送った内部告発には、霧島署の署員によるスーカー事件が「2件」起きていたことを示唆する文言があった。1件は捜査状況が詳しく記されており、同署地域課所属で駐在所に勤務していた30歳代の男性巡査長(当時)が、巡回連絡簿を利用して取得した個人情報をもとに悪質なストーカー行為を行なっていたというもの。もう1件は、昨年2月に霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署巡査部長のストーカー事件で、ハンターの取材によって、いったん作成された「苦情・相談等事案処理票」のデータが消去されたり、犯行の具体的な証拠となる防犯カメラの映像が消されるなどして犯罪の具体的な証拠が闇に葬られていたことが分かっている。

 前者は被害女性が立件を望まなかったという理由で、後者は証拠隠滅により事件そのものがもみ消された形となっているが、2件のストーカー事件には当時の霧島署長、副署長、警務課長とともに、本部長指揮となったため両事件を担当した県警本部の「人身安全・少年課」が深く関わっていた。同課の課長から霧島署の署長へと出世したのは障子田穂積氏。彼こそ、ありもしない選挙違反を捏造して鹿児島県警の名を全国に知らしめた「志布志事件」で、「たたき割り」と呼ばれる違法な捜査手法をもって地域住民を奈落の底に突き落とした警官の一人だったことが分かった。志布志事件の関係者からは、県警に対する厳しい批判の声が上がっている。

 ■志布志事件

 警察が犯した“事件のでっち上げ”として、戦後最悪の事例に挙げられるのが志布志事件だ。2003年、鹿児島県警はその年4月に行われた鹿児島県議会議員選挙曽於郡選挙区で当選した中山信一氏や地域住民ら15人を公職選挙法違反の疑いで逮捕、そのうち13人が起訴され、のちに死亡した一人を除く12人全員が無罪判決を受けている。

 逮捕容疑となったのは会合における現金買収や、焼酎・現金の供与。いずれも県警がでっち上げたもので、捜査過程では、ありもしない出来事を供述させるため、“たたき割り”と称される非人道的な取り調べを行っていた。“たたき割り”とは、脅しや暴力によって精神的に追い詰め、自白を強要する捜査手法。違法であることは言うまでもない。

 “たたき割り”の手法として全国的に報道された「踏み字事件」で、県警の浜田という警部補(当時)は、容疑者と決めつけられたホテル経営者・川畑幸男さんに対し、父親や孫の名前と「こんな人間に育てた覚えはない」「正直になって下さい」などと記した紙を、力づくで踏ませるという違法な取り調べを強行。当日の取調べは、朝の7時過ぎから夜11時過ぎまで続けられ、トイレにも行かせないという理不尽なものだった。浜田警部補は、「水を飲ませて下さい」と頼んだ川畑さんに対し、「白状したら飲ませてやる」と凄んだという。

 一連の違法捜査が行われる中、別の婦人が、「陣営関係者から現金2万円と焼酎2本をもらった」とする嘘の自白を強要される。その婦人の供述内容に変化があったことに腹を立てた県警のある取調官は、婦人を志布志署関谷口交番において強圧的な取り調べを実行。「俺が今言ったことをおらべ!(おらべ=叫べの意)」と迫り、交番の格子窓から外に向けて「私は選挙で焼酎2本とおカネ2万円をもらいました」と絶叫させた。狂気に満ちたこの件を、関係者は「おらばせ事件」と呼ぶ。

 ■「たたき割り」実行者、隠ぺい捜査に関与か

 実は、このおらばせ事件で関谷口交番に無実の女性を連れ込み「たたき割り」を行っていたのが当時警部補(事件関係者の記憶による)として捜査にあたっていた障子田穂積氏だったといい、ハンターの取材に応じた複数の「たたき割り」被害者が「間違いない」として事実関係を認めている。

 その障子田氏の前職は県警本部生活安全部人身安全・少年課長。ストーカー事件を担当する部署の実務責任者だった。ここで、人身安全・少年課が捜査にあたった霧島署員による2件のストーカー事件を振り返っておきたい。

 本田元部長が告発文書に記した霧島署員によるストーカー事件は、県民の信頼があってはじめて作成が可能となる「巡回連絡簿」を悪用した極めてタチの悪い犯罪だ。事件発覚は昨年12月。被害女性の処罰感情が強かったにもかかわらず、犯人の上司である霧島署員と本部生活安全部人身安全・少年課の警察官らが被害者側に捜査過程などを説明。最終的に被害者は、「事件化を望まない」という選択をしていた。ハンターは、「説明」ではなく「説得」だった可能性が高いとみている。

 もう1件のストーカー事件が起きたのは昨年の2月。霧島市内のクリーニング店で働いていた20代の女性に、同署の警察官がつきまとった挙句に自分の名刺を無理やり渡し、しつこく個人情報を聞き出すなどして相手に恐怖心を抱かせた。女性は別の署の現職警官にアドバイスをもらい霧島署に相談したが、同署はいったん作成した「苦情・相談処理票」のデータを削除したり、犯人が映っていたはずの防犯カメラ映像をなかったことして証拠を隠滅。県警は具体的な証拠を消し去ることで事件を矮小化し、不起訴に持ち込んでいた。二つのストーカー事案は、ともに警官の非違行為であることから「本部長指揮」。捜査を担当したのが本部生活安全部の人身安全・少年課だった。

 本部長指揮である以上、2件のストーカー事件で隠ぺいの指示ができたのは県警トップの野川明輝氏ただ一人。その指示のもと、動いたのが人身安全・少年課と霧島署の幹部だったということになる。

 論功行賞ということなのか、人身安全・少年課の課長を務めていた人物は、今年春の異動で霧島署の署長に就任。その新署長こそ、志布志事件で捜査に加わり、前述の「おらばせ事件」で“たたき割り”を行ったという障子田穂積氏である。

 “たたき割り”で鹿児島県警の悪徳ぶりを世に知らしめた警官が、ストーカーや虐待事案の対策を行う人身安全・少年課の責任者だったというのだからブラックユーモアと言うしかない。志布志事件から21年、今度は本部長の指示を受け、2件のストーカー事件の隠ぺいに加担した疑いさえある障子田氏が、地域の安全安心を担う警察署の署長にまで出世したのだから、鹿児島県警の悪しき体質を象徴する人事と言えるだろう。

 ■志布志事件の被害者から怒りの声

 県民や志布志事件の関係者を愚弄するような県警の姿勢に対し、「踏み字」の被害者となった川畑幸男さんが、怒りをにじませながらこう語る。

 「志布志事件を受けて県警は良くなるものと考えていましたが、その頃より悪くなっています。県警トップに隠ぺい指示の疑いが出ているのですから、極めて深刻な事態だと思います。私はたたき割りで「踏み字」をやらされた挙句、逮捕までされましたが、消防団長だったHさんの奥さんは関谷口交番で障子田に脅され、やってもいないのに、人がいる道路に向けて『焼酎2本と現金2万円をもらいましたー』と何度もおらばせられたんです。いずれも人間のやることじゃないです。そんな犯罪行為をやった人が、警察署長として県民の安全安心を守れるはずがありません。かつて犯罪をでっち上げた鹿児島県警が、今度は身内の警察官による卑劣な犯行をもみ消した上に、内部告発した正義の警察官を逮捕して悪者に仕立て上げた。志布志事件の反省など、かけらもなかったということでしょう。絶対に許してならないことです」

 志布志事件弁護団の事務局長だった野平康博弁護士は、「おらばせ事件」の担当調べ官が障子田霧島署長であると認めた上で、次のように話している。

 「いま問題になっている鹿児島県警の警察官による盗撮やストーカーといった犯罪行為は、いずれも本部長指揮となったもの。選挙違反をでっち上げた志布志事件も本部長指揮だった。志布志事件では、具体的な証拠がないまま虚偽の証言のみに頼って立件し、その過程で踏み字に象徴される「たたき割り」という手法をとった。権力の濫用があったのは間違いない。

 一方、今回の問題では具体的な証拠があるにもかかわらず、おそらく本部長の指示で捜査が止まり、ことによっては隠蔽されていた可能性さえある。具体的な証拠があったわけだから、犯罪防止のためにも速やかな捜査がなされるべきだった。しかし、そうはならなかった。これも違った意味での権力の濫用だ。いずれの件でも、不適切かつ違法な捜査が行われており、改めて、報道機関によるきちんとしたチェックの必要性を感じる。志布志事件の時も、最初は報道機関の動きがなく、警察発表だけが垂れ流された。現在の報道機関の姿勢はどうなのか、警察に対する監視を怠ってはいないか、そのことについても議論するべきだ」

 ■論功行賞

 ところで人事といえば、霧島署員による2件のストーカー事件の隠ぺいに関わった疑いのある幹部警察官たちは、今年春の異動で揃って昇進や出世を遂げている。

 2件ものストーカー事件発生を許した上で証拠隠滅などの指示を出した可能性のある前霧島署長の南茂昭氏は県警本部生活安全部長に、前述したように本部の人身安全・少年課長だった「たたき割り」の障子田穂積氏は、ストーカー事件でかかわった霧島署の署長になっている。

 特に南氏については、「警視」が署長のB級署といわれる霧島署から、いきなり「警視正」に昇進して生活安全部長に就任。通常はA級署を経て就く地元出身警察官の最高ポストに抜擢されており、同氏の「2階級特進」に納得のいかない県警関係者は少なくないという。

 また、いったん作成したストーカー事案の「苦情・相談等事案処理票」を翌朝までに消去した疑いのある霧島署の海江田真警務課長は、今年3月に「口頭厳重注意」というわけの分からない“処分”を下されながら、A級署である鹿児島中央署の警務課長に栄転している。

 一連の不可解な人事を差配できるのは、本部長しかいないと思うが……。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警の不正疑惑】  2024年08月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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