【きょうの潮流】:生への発露でした。いつもそこに居た人がいなくなった悲しみ。日常やつながりが突然断たれた苦しみ。
【きょうの潮流】:生への発露でした。いつもそこに居た人がいなくなった悲しみ。日常やつながりが突然断たれた苦しみ。
でも私は生きていく、人生のどこかにそれを置いて―▼東日本大震災で甚大な被害をうけた石巻市で先日、地元の市民や被災者ら100人が舞台に立ちました。「心の復興13回忌ミュージカル 100通りのありがとう」。全員素人の老若男女が力強い歌声と踊りを披露しました▼構成したのは数多くのミュージカルを手がけてきた音楽家・演出家の寺本建雄さん。昨夏から一人ひとりの体験を聞き取り、台本をつくり直したといいます。十三回忌の節目にあたって、亡くなった方への供養とともに新たな出発の意味も込めたかったと▼けいこではセリフのたびに泣いてしまう人や、声が詰まって歌えなくなる人も。しかし励まし合うなかで次第にためていた思いをはき出せるように▼震災翌年に石巻地方の被災者が東京・銀座で演じたミュージカルが続けられ、今回が4年ぶりの公演でした。「震災で起きたことを後世に伝えていきたい」「自分をさらけ出すことで、これまでとはちがった足取りを記していければ」と参加者は口々に▼出演者それぞれが新しい関係を築いているというプロデューサーの祖父江真奈さんは、心のケアの大切さを改めて。声をそろえた幕引きの歌は心のさけびでした。「心つながるこの土地/この土地ちゃんと生きてる/思い寄せ合うこの土地/この土地ちゃんと生きてる/力を合わせ助け合う/それが人間だ」
元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】 2023年06月29日 04:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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