路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ

2024-12-03 07:00:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ 

 本来なら待ったなしの国際条約のはずだ。プラスチックごみによる環境汚染を防ぐ条約案の合意がきのう先送りされた。韓国で開かれていた政府間交渉委員会の会合が、国連の目指す年内の策定を実現できずに終わったのは痛い。

 最大の焦点はプラスチックの生産規制という、ライフサイクルの「上流規制」に踏み込むか否かだった。欧州連合(EU)や島しょ国など100カ国以上は、国際的な生産の削減目標を第1回の締約国会議で採択する案を主張した。プラスチックの原料となる石油を産出する中東諸国は反対し、「下流規制」のリサイクル、ごみ処理や管理の対策に限定するよう求めた。

 最後まで溝を埋められなかったのは、生産規制となると産業や暮らしへの影響が大きいからだ。プラスチックは軽く丈夫で安価なため、あらゆる場面で使われる。しかし、メリット以上に、環境汚染や生態系への悪影響は看過できないレベルになった。

 条約はプラスチックごみの汚染を食い止める初の国際ルールで、使用量の削減へと反転させる象徴となる。来年に再び交渉委を開く。危機感を土台に着地点を見いだす努力を続けなければならない。

 プラスチックごみを巡ってはまず、2019年に大阪市であった20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、50年までにプラスチックごみによる新たな海の汚染をゼロにする目標で合意した。22年には国連環境総会で条約の策定を決め、今回は5回目の交渉委の会合だった。

 国境を超えたルール作りに踏み出したのは、とりわけ海洋への流出の深刻さが明らかになったからだ。島しょ国の沿岸に大量のごみが漂着する。自然に分解されず、海の生き物を脅かす。風化で細かくなった「マイクロプラスチック」が人間の体内で検出された報告が相次ぎ、健康への懸念は現実になりつつある。

 このまま規制しなければ、プラスチックの生産量は世界で40年に7億トンを超え、20年の17倍に増える推計も出された。もはや下流規制だけでは追い付かない。生産の規制まで踏み込まない限り、実効性が薄いのは確かだ。

 ただ海洋への流出量が多いインドなど新興国や、大量消費国の中国も上流規制に後ろ向きだ。この国々が条約に参加しなければこれまた形骸化しかねない。

 曲がりなりにも交渉を重ねた結果、各国の姿勢が明確になった。使用量削減という最低限の合意はした上で、削減目標を設定する時期を柔軟に考えるのも一つの選択肢ではないだろうか。

 日本は米国とともに、一律の規制ではなく、各国の状況に応じて上流から下流の全体でバランスを取った対策を求めた。しかし、国民1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量は、米国に次いで2番目に多い。レジ袋は有料化したものの、規制はEU各国に比べて緩い。

 条約の実現への努力と並行し、使い捨てに焦点を当てた規制強化など国内対策の強化を怠ってはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【天風録・12.03】:子どもた... | トップ | 【政界地獄耳・11.27】:防衛... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】」カテゴリの最新記事