たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2009年2月‐6月『ルーヴル美術館展』_17世紀ヨーロッパ絵画(5)

2017年10月18日 16時17分59秒 | 美術館めぐり
 ウィキペディアで画像を見つけられなかったのでまた文章だけなのですが、2009年の『ルーブル美術館展』より、カタログをようやく振り返っていて心に留まった作品を書きたいと思います。


(公式ガイドブックより)

「17世紀フランドル派
 《襲撃》
 1600‐1630年頃
 油彩、カンヴァス
 115×147㎝

 ルーベンスにおける革新が現れる以前における、フランドル風景画の作品である。彼方を感じさせる青みを帯びた色調は、ヨース・デ・モンベルの様式を示しているが、この《襲撃》の作者について確かなことはわかっていない。まずローマで活動した多弁な風景画、パウル・ブリル(1554-1626)の名前が思い浮かぶだろう。近景から遠景までの段階的な景の連なり、自然についての瞑想に導くような広範な風景の中への人物像の参入、細部における関心の傾向(跪いて命乞いをする人物など)は、この画家の流儀を示している。ウィレム・ファン・ニューラント(弟)(1584‐1635頃)、あるいはアブラハム・ホファールツ(1589‐1626)らを想定することも可能だろう。そうすると、この絵はよりオランダ的な印象が強まる。作者がこれらの有名な風景画家でなかったとしても、彼らの影響の反映だと見なせるため、本作品を1600‐1630年頃の制作とすることができる。

 いずれにせよ、この大型の風景画は興味深い作品である。なぜならこの絵は、フランドル人がしばしば没頭したジャンルの混淆(こんぎょう)を示すからである。すなわち風俗画(森を通過する旅人への襲撃)と風景画(木々と川のあいだから眺まれる遠方の光)が、この絵では結合されている。このように森は脅威に満ちていたのだと思われる。悪事を企み徘徊する畑荒らしや敗走中の兵隊くずれの者たち、あるいはぼろを着た泥棒がいつも溢れていた。同時にこの情景は逸話的なものを超えている。そこでは、自然がもたらす感情に現実感のある脅威が加味されている。この印象は、絵をつぶさに見るにつれてはっきりしてくる。

 数ある会戦(白山の戦い、ブレダの開城、ロクロワでのスペインとフランスの衝突など)に加えて、掠奪という事象は、「黄金の世紀」のヨーロッパに共通する宿命として、絶え間ない不安感を人々に与えていた。この作品は、あまり重要とは言えない流儀で描かれてはいるが、単なる美しい光景や逸話の面白さに陥ることなく、否定しがたい歴史の厚みを理解させてくれる。」


 グリム童話の森、『ハンナのお花屋さん』の森、森という言葉がわたしのなかでひっかかって書いてみました。絵がないので臨場感ないですね。ガイドブックよりの絵をアップロードするわけにはいかずで失礼しました。