「Home(生きる場所)
作詞:植田景子
Home
人は誰も 求め生きる
心安らぐその場所
「いつか、ここが自分の生きる場所だって、
そう信じられる場所を見つけたいと思う」
故郷離れたどり着いた
見知らぬ街
故郷別れ告げ知らぬ間に
時は流れ
どこで
何を
誰と生きるのか
世界の
どこかに
何かが待っている
Home
人は誰も 求め生きる
自分だけの その場所
Home
人は誰も 信じ生きる
辿り着ける その日を
一度の 人生
一度の 人生
生きる意味を
わたしだけの 生きる場所
心が震える
あすはず
真実探して
星の数ほど 人の中で
探し続ける
出会えるはず その場所が
待っている
必ず
Home」
『ハンナのお花屋さん』、タイトルからは想像できなかった重厚な物語で宝塚らしくないけれど、宝塚らしい幻想的な雰囲気もちゃんとある作品。ごめんなさい、そんなに期待していなかったので、意味で裏切られました。壮大な歴史物や現実にはあり得なそうな恋愛物もいいけれど、たまにはこんな身近な、等身大の人々が登場する舞台もいいのではないでしょうか。親子の確執、人生に迷ったときふと振り返る幼い日々、自分の生き方はほんとうにこれでいいのだろうか、自分は何をしたいのだろうか、これからどうやって生きていけばいいのだろうか。誰もが問いかける自分の生きる道、ほんとうの居場所、帰るべき場所。自死遺族であり、両親との突然のお別れも経験しているわたしには記憶がよびさまされてしまったところがあったけれど、舞台全体があったかくてやさしくて、一人一人、どの役も演じる花組のみなさんが美しく役に同化されていて清らかな気持ちにさせてくれました。
好きな場面は尽きませんが、クリス(明日海りおさん)とアナベル(音くり寿さん)の二人だけの場面が、何気にすごくやさしい雰囲気でいいなあと思いました。アナベルはイギリス・サセックス州出身、バレリーナを志していたけれど怪我で挫折、ハンナのお花屋さんの前を通りかかった時、クリスの花がすごくやさしいのに惹かれてハンナのお花屋さんに就職したという設定。一生懸命に仕事にも自分にもきびしい。バレエ学校で一緒だった女性が、ロイヤルバレエ団で活躍しているニュースに心が揺れて、ついお花屋さんの仲間たちにも口がきつくなってしまったとき、二人だけになったお店の中でクリスが「アナベルのバレエがみたいなあ、踊ってみせて」と言葉をかけるのですが、アナベルに話しかけながらCDをセットするみりおさんの一連の流れるような仕草が美しって美しくって見惚れました。長い間踊っていないし踊れるかしらと不安がるアナベルに、「完璧である必要なんかないんだよ」という言葉がやさしくってあったかくって沁みました。今の自分でいいんだよ、十分なんだよと肯定してくれているようでうれしくなりました。なんだかね男前すぎますね。おどおどしながら踊り始めるアナベルのバレエが美しって客席から拍手。クリスがデンマークに戻ることになり、ロンドンのお店を任されることになったアナベルが、ほのかにクリスに恋心をいだいていたのかなと思わせる演出がさりげなくて、演じる音くり寿さんが等身大ですごくかわいかったです。かわいくて芯のある女性。素敵でした。
デンマークに戻ったクリスがネットも駆使してフェアトレードという新しいビジネスをはじめようとするという設定にも気持ちがひかれました。発展途上国というキーワード、わたしにとって遠くて近い言葉。忘れていこうとしている大会社では、以前にも書いていますが年中、発展途上国へ出張に出かけていく社員や外注さんたちの、出張に伴う諸々の身の回りの世話や書類作成など、膨大な量のあれやこれやをやっていたので、わたし自身は一度も発展途上国に行ったことがありませんが、身近だったんですよね。働いているときは仕事で見聞きしている名前にプライベートでは目をそむけたかったけれど、もう戻ることはなくなったので一度行ってみたいなあ。ネパール、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、インドネシア、タイ、バングラデシュ・・・。カンボジアの、地雷が埋まっていて危険度が高い場所はその分会社の中で出張手当が高く設定されていました。そんなことがあって、『地雷では花をください』が登場した時、クリスの口から発展途上国のという言葉が出た時身近に感じられました。なんかね、大会社と闘いとなってしまった経験をとおして、今年に入って経験した業務をとおして、社会をみわたすと時代は変わってきていると感じます。日本はこれからますます混迷、大変な時代になってくるので、大会社に頼って生きていくのは終わりがみえてきていて、ソーシャルビジネスが必要とされるようになってきているのではないかと。
「自分の願いは第二のトーマス・キャンベルになることじゃない」(明日海さんクリス)。がっぽがっぽともうからなくってもいいじゃないか、人を蹴落としていかなくてもいいじゃないか、弱い立場の人たちが小さくつながっていけば大きなちからになるんじゃないかな。だからって自分が何できるわけでもないですが、来月半ばから一年間勉強のつもりでさらに仕事をしたら何しようかな、ってなんとく思ったりするこの頃。
『ハンナのお花屋さん』から若干話がそれてきているかもしれませんが、わたしの中で幾重にも身近で尽きない物語。気がついたら、金と権力にモノ言わせて弱い立場の人を踏みにじることを生業としているような弁護士との闘いとなっまていた、過酷なことをさせてしまったなあとあらためて思います。そんな自分に対するいたわりのようにも思える作品。まだまだ書きたいことがありますが今日はここらあたりでおしまいにします。5月に行きましたが、仕事をスタートする前に、葉祥明美術館といわさきちひろ美術館にまた行きたいです。仕事していると疲れちゃって無理なのでね。
来年1月3日の宝塚大劇場『ポーの一族』観劇に向けて、往路の飛行機を予約しました。マイルと引き換えたクーポン券と残額はクレジット。あとはチケットを受け取り、復路の新幹線か飛行機を予約できれば荷物を準備して行くだけ。国内線なんて10年ぶりだし、カナダまで一人旅したわたしですが久しぶりの旅で何気に高いハードル。大丈夫かなあ。この旅を目標に年内は生き延びていこうと思います。
またまた長文、失礼しました。舞台写真はツィッターからの拾い画です。