たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2017年『レディ・べス』_二度目の観劇でした

2017年10月28日 23時46分13秒 | ミュージカル・舞台・映画
 2017年10月28日(土)、17時開演の公演を観劇してきました。初の平野綾さんべス、初の未来優希さんメアリー。平野さんのべスは、神々しさはないけれど、いつか自分は女王になるかもしれない、自分はイギリス国王の娘なんだという自覚と誇りを持ちながら生きてきている感じがよく出ていたと思います。山口祐一郎さん演じるアスカム先生が、姉メアリーに虐げられながらもベスが女王としてイギリスを背負って立つ日が未来への希望を予感させ、和音美桜さん演じる母アン・ブーリンが窮地に陥るたびに現れてはベスを励まし続ける流れがすごくしっくりときました。その分、嫌われ続け最期は病に倒れて亡くなる姉メアリーの哀れさが際立ったかなという感じがしました。加藤和樹さんロビン、3年半前よりも確実に歌声が安定しているし声に艶があり、すっきりとかっこよかったです。ロビンの「俺は流れ者」、歌が短くなって物足りない感じがしたのですがプログラムを読んで、上演時間が15分短くなっているとのことで納得。初演のままの方がよかったかなあと思うところもあれば、演出が変わってよりわかりやすく、はいりやすくなったのかなあと思うところもあってどちらとも言えないかな。

 古川雄大さんのフェリペ皇子はクールヘッドそのもの。涼しげにほくそえんで何を考えているんだかわからないところが魅力ね。道行く人の場面の和樹さんロビンとのデュエットダンスが絶妙でした。涼風真世さんのキャット・アシュリーは、「ベス様、曲者ですか?」と捕えられようとするベスを守る仕草が今日もオスカル様にしかみえませんでした。史実と少女漫画の世界が一体化したような物語世界。メアリーが崩御し、女王として立つことになったベスが戴冠式に臨むときには最後ロビンが「ベス」って呼びかけても、もう振り向きませんでした。女王としてイギリスと結婚することを決意したベスの背中がちょっとさみしげにみえました。綾ちゃんの、すっごく細いのに声量ある歌声がなんとも胸に響いてきて、なんどか涙がにじんでいました。エポニーヌもコンスタンチェも観ていますが、話すときの声とのギャップにびっくり。和音美桜さんのアン・ブーリンの歌声、今日も素敵でした。登場するたびに涙、儚さを感じさせると同時に幼い日に別れたベスがいつか女王として立つ日が来ることを信じて背中を押し続けている強さと優しさがにじみ出ていて涙。女王としてイギリスを繁栄に導くことになったベス。彼女が亡くなったあと、繁栄のあとの暗い社会が訪れたことが『シェイクスピアの面白さ』に書かれていたので紹介したいですが後日またあらためておいおいと、ってそんなに時間はもうなくなってきたかな。

 頭の中はまだまだお花畑。キャトルレーヴで、仕事をはじめたら窒息しそうになることは間違いないのでそんな時のために机の引き出しにしのばせておきたい楽しそうなお花屋さんの写真とか、訪問の時書類を入れるためのお花屋さんのクリアファイルとか購入。散財しましたが必要経費。3点だけに抑えました。わたしのなかで必要経費。そんな感じなので、おそくなったしこれぐらいでまたぼちぼち思い出していければと・・・。

 S列だったので、3年半前の5月に当日券で坐った補助席を今日も見つめていました。あの時とはちがうわたしで、なんとなくこれが与えられたやくわりなのかしらという仕事に足を踏み入れたわたしで『レディ・べス』という舞台と再会することができてほんとうによかったと心の底から思いました。自分を信じて、自分の心に正直に生きていく。むずかしくて大切なこと。壮大な物語を通してそんなことを教えられているのかなと平野さんベスをみながらあらためて思いました。