たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

花組『ハンナのお花屋さん』_沁みわたっています

2017年10月29日 20時06分42秒 | 宝塚
 頭の中はまだまだお花屋さん。可愛らしいタイトルからは想像できなかった深い深いお話。じわりじわりと心の中に沁みわたってきています。来年1月末に発売予定のDVDを昨日、帝劇に行く前にキャトルレーヴで予約してきました。その頃には12月分のお給料が入っているはず。12月のカレンダーをみると、祝日と土日が重なっているので3連休なしのフル稼働。日給制のアルバイトなのでその分お給料は多くなりますがこりゃきついわ。窒息しそうになること必須、乗り切っていくためにはこんな楽しみ、心の点滴を自分に用意してあげないと無理なのでね、お花屋さんのとっても楽しそうなお写真と明日海さんクリスのエプロン姿のお写真も購入。気持ち追い詰められて窒息しそうになったときの息抜きのために必須。机の上に飾ることはできないだろうから引き出しに入れるつもりです、心の点滴ね・・・。

 2月に名前をほとんど認識できていないまま、『金色の砂漠』のライブビューイングを観たときは明日海りおさんが主人公ギィに、これ以上の役はないのではないかと思うぐらいに同化しているように思いましたが、全く正反対の役柄でこれまたクリスが明日海さんそのものにしかみえないほど同化していてすごいなと思いました。小さな仕草のひとつひとつ、指先にまで神経が行き届いていてさり気なく美しく、ここまでなりきれるものなんだと溜息がでました。高級車の前でサングラスをかけている写真やら、パソコンを立ち上げるときの銀縁眼鏡をかける姿まで、金髪がよくお似合い。カーテンコールはジーパンにお花屋さんのエプロン姿だったんだとライブビューイングであらためてびっくり。地味でキラキラ衣装でもなんでもないのに、華やかなオーラをまとっているのはさすがだと思いました。お花よりも店員さんの方が多いんじゃないかと思うぐらいにぎやかなお花屋さんの中で、「花屋の仕事は重労働~♪」と歌う場面。なかなかお一人お一人書けませんが、みなさん役柄に同化しているようにみえて、楽しんで舞台に立っているんだろうなということが伝わってきました。だからこちらも楽しくって、楽しくって。お花屋さんの仕事は仕入れのために朝がすごく早いし、冬は水の冷たさで手が荒れるし、足腰もきついと実際働いたことがある方からきいたことがあります。せまい店内、センスのいい方がお客さんのために素敵なブーケをつくったら店長の妬みをかってしまったなんていう話を、相談業務に携わっている方からきいたこともあります。ハンナのお花屋さんはそんなことありませんね。どこまでもさわやかなホワイト企業・・・。

 楽しそうなロンドンのお花屋さんの風景と幻想的なデンマークの森の中のアベルとハンナと少年クリスの風景が交錯するなかで、弟を地雷で亡くしたという設定のミア(仙名彩世さん)は、背負っているものが重すぎて苦しかったです。自分のせいで弟は死んでしまったとクリスの前で自分を責める姿に、かつての自分の姿が重なりました。妹とのお別れのあと、会社で二人分働きながら精神保健福祉士の国家試験に合格するぐらいまでしないと自分を許すことができなかったわたしも、人からみればずいぶんと重いのかなあ、きっと重いんだろうなと思いました。人が自分で自分を責め続ける姿は苦しいものですね。わたしの生きる力を信じ続けながら苦しいを受け止めてくださったカウンセラーの先生との出会いがなかったら、ここまでくることはできなかったかなあ。哀しいことだけれど人はみんな一人で生まれて一人でこの世を旅立っていくもの。でもこの世にいる間、一人で生きていくことはできません。誰かとつながりあって生きていくもの。

「人は誰も一人では何も出来なくて、人と人との関わりやつながりの中に幸せはある。そこに、少しの優しさがあれば・・・」(プログラムの中の植田景子先生のメッセージより)。

「It is not the end of the word」

 ミアがクリスとのデュエットで歌ったこの歌詞に、わたしはどんなにつらいお別れがあっても残されたものは先に逝った人の分まで生きていかなければならない、精一杯生きていくのが人なんだという想いが込められているように感じました。たぶん観劇された方、それぞれの個人的体験によって受け止め方はちがってくると思います。あくまでもわたしの感じ方。

 宝塚の舞台をこんなに身近に引き寄せて観ることになるとは思いませんでした。じわり、じわり、まだまだ想いは尽きません。インスタなどをのぞいてみると、観劇された方それぞれが共感しながら、自分を見つめ直しながら色々に想いをめぐらされているようで、宝塚の幻想的な世界観はそのままに、おしつけがましくなく社会的メッセージを込めた作品が上演されるようになったのだと実感、時代の要請ですかね。大きな組織や資本に頼るのではなく、個々人が自分はどう生きていくのかを大切に考えながら生きていく時代になっていきていると思います。

 ミアはデンマークの就労ビザをとれたのかな、ビザがなくてもクリスの仕事のパートナーとして収入を得ていいのかな、現実的な細かいことはわからないですが就労ビザを取るのって、けっこう時間と手間がかかるし大変だって大会社での就労経験でわかったのでどうなのかなあって、なんとなく思ってしまいます。ミアが経済的に自立していくのはむずかしいかな。願わくば、ミアにはクリスに幸せにしてもらうんじゃなくって自分自身で幸せになってほしいなあ。こんな、現実にたくさんいらっしゃるであろう重い役をこなされた仙名さんの力量に拍手を送りたい。宮城県名取市ご出身。故郷への想いも重ねながらミアを生きられたのかなと勝手に想像しています。

 DVDの前に音楽配信お待ちしています。通勤のお共に、つらくなったときの癒しにしたいのでぜひ、ぜひ・・・。

 オタクにしかわからない話を今日も長々と失礼しました。舞台写真は宝塚ジャーナルより転用しています。



楽しそうなお花屋さん。



クリスが幼い頃を過ごしたデンマークの森の中の家で、ミアとクリス。



エプロン姿のクリス。



ロンドンの公園でミアとクリス。



デンマークの森の中で幸せに暮らしていたハンナとアベルと少年クリス(回想シーン)、アベルの葬儀を終えて少年の日の家族をみつめるクリス。