《手紙を書く女》
ヨハネス・フェルメール
1665年、油彩、カンヴァス、45 × 39.9cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
「フェルメールの財産目録には、白い毛皮飾り付きの黄色い上着が含まれているようだ。この上着は、とりわけ《真珠の首飾りの女》、《リュートを調弦する女》、《手紙を書く女》、《婦人と召使い》に描き込まれている。これらはすべて1660年代半ば以降に制作された作品で、1668年の年記のある《天文学者》と1669年の年記のある《地理学者》よりも前に位置づけられよう。
「真珠の絵画」のほとんどが、没我のプライヴェートな瞬間を主題にしているのに対し、《手紙を書く女》では、女性が、鑑賞者に気づいていることを知らせるかのように、書いていた手紙から顔を上げる。彼女は真珠の首飾り、宝石箱、インク壺を載せたテーブルに座り、我々に挨拶を送るかのごとく、リボンで飾り立てた愛らしい頭をこちらに向ける。彼女の頭上の、陰になった奥の壁には、大きくて暗い楽器の静物画があり、ここにもヴィオラ・ダ・ガンバが描かれている。」
(2008年『フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち-』公式カタログより)
「手紙を書いている女性がふとこちらを向く。かすかに笑みを含んだ表情が愛らしい。窓は見えず背景も暗いが、ほかの作品と同じく左上から光が差している。室内のようす、女性の着衣などから、ここに使用人が手紙を届ければ《女性と召使い》になるし、立ち上がってネックレスを首にかければ《真珠の首飾りの女》(作品名の表記は2008年・2018年『フェルメー展』にあわせました)だし、楽器を抱えれば《リュートを弾く女性》になる。フェルメールの作品はどれも、似たような要素だけで成り立っている。それにもかかわらず、いずれの作品にも類似性を感じさせないという独自の魅力がある。」
(『小学館ウィークリー西洋絵画の巨匠フェルメール』より)
黄色い上着を着た愛らしい少女に昨年12月に上野の森美術館の『フェルメール展』で再会しました。日本にいながら、海の向こうからやってきたフェルメールの絵になんども会える。ありがたいことです。
ずっと書きたかったこと、やっとまたひとつ整理できました。
2018年12月15日上野の森美術館『フェルメール展』にて
《手紙を書く女》
《真珠の首飾りの女》
ヨハネス・フェルメール
1665年、油彩、カンヴァス、45 × 39.9cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
「フェルメールの財産目録には、白い毛皮飾り付きの黄色い上着が含まれているようだ。この上着は、とりわけ《真珠の首飾りの女》、《リュートを調弦する女》、《手紙を書く女》、《婦人と召使い》に描き込まれている。これらはすべて1660年代半ば以降に制作された作品で、1668年の年記のある《天文学者》と1669年の年記のある《地理学者》よりも前に位置づけられよう。
「真珠の絵画」のほとんどが、没我のプライヴェートな瞬間を主題にしているのに対し、《手紙を書く女》では、女性が、鑑賞者に気づいていることを知らせるかのように、書いていた手紙から顔を上げる。彼女は真珠の首飾り、宝石箱、インク壺を載せたテーブルに座り、我々に挨拶を送るかのごとく、リボンで飾り立てた愛らしい頭をこちらに向ける。彼女の頭上の、陰になった奥の壁には、大きくて暗い楽器の静物画があり、ここにもヴィオラ・ダ・ガンバが描かれている。」
(2008年『フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち-』公式カタログより)
「手紙を書いている女性がふとこちらを向く。かすかに笑みを含んだ表情が愛らしい。窓は見えず背景も暗いが、ほかの作品と同じく左上から光が差している。室内のようす、女性の着衣などから、ここに使用人が手紙を届ければ《女性と召使い》になるし、立ち上がってネックレスを首にかければ《真珠の首飾りの女》(作品名の表記は2008年・2018年『フェルメー展』にあわせました)だし、楽器を抱えれば《リュートを弾く女性》になる。フェルメールの作品はどれも、似たような要素だけで成り立っている。それにもかかわらず、いずれの作品にも類似性を感じさせないという独自の魅力がある。」
(『小学館ウィークリー西洋絵画の巨匠フェルメール』より)
週刊 西洋絵画の巨匠 4 フェルメール (小学館ウイークリーブック) [分冊百科] | |
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黄色い上着を着た愛らしい少女に昨年12月に上野の森美術館の『フェルメール展』で再会しました。日本にいながら、海の向こうからやってきたフェルメールの絵になんども会える。ありがたいことです。
ずっと書きたかったこと、やっとまたひとつ整理できました。
2018年12月15日上野の森美術館『フェルメール展』にて
《手紙を書く女》
《真珠の首飾りの女》