たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2012年『マウリッツハイス美術館展』_「真珠の耳飾りの少女」

2019年05月02日 23時25分44秒 | 美術館めぐり
《真珠の耳飾りの少女》
ヨハネス・フェルメール、1665-66年頃
油彩、カンヴァス、47×40cm
ハーグ(オランダ)マウリッツハイス美術館


「フェルメールの円熟期には、半身像と全身像の風俗画面に加えて、異国風の衣装に身を包んだ匿名の女性の胸像がいくつか制作されている。これらの作品は、彼自身の財産目録の「トルコ風に装った2点のとローニー」という言及と、1696年のディシウスの競売で「古代風の衣装を着けたトローニー、類例のない芸術的なできばえ」と記述された作品と結びつけられてきた。「フェルメールによるトローニー」なる作品も、ハーグに居住して頂ければイギリス人彫刻家ジョハネス・ラーセンの1664年8月の財産目録に登場する。この種の作品群のなかで最も名高いのは《真珠の耳飾りの少女》である。魅力的な若い少女が、濡れた唇を半ば開け、異国風のターバンを巻き、左の肩越しに直に鑑賞者の方を見る。彼女は、愛らしい顔、明るい顔色、黒一色の背景に浮き上がる柔らかな輪郭によって、近代の鑑賞者をうっとりさせ、魅了してきた。彼女は、彼らにとって、謎めいた「オランダのモナ・リザ」となったのである。だが、彼女の伝記を作り上げようとする小説家、詩人、映画製作者たちの努力にもかかわらず、この匿名のモデルの生涯については何もわかっていない。」


(2008年『フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち-』公式カタログより)



2012年6月30日から9月17日まで上野の東京都美術館にて、『オランダ・フランドル絵画の至宝-マウリッツハイス美術館展』が開催されました。わたしは、終了が近づいてきた、8月24日に疲れ果てた体をひきずるようにしてなんとかすべりこみ。

せまい中に人がひしめき合い、「立ちどまらずにゆっくりとお進みください」との会場アナウンスで、少女の前にしばし立ち止まって会話することは叶いませんでした。
日本にいながらこうしてフェルメールの絵に出会えるなんてほんとにありがたいことですが、できれば、いつかこの世にいる間に、マウリッツハイス美術館で再会したいものです。
茂木健一郎さんは、「行き交う人も少ないギャラリーの中。振り返れば《デルフトの眺望》があり、前を見れば《真珠の首飾りの少女》が佇むという贅沢な空間の中で、至福の時を過ごした」そうな。