アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

頭のいい人

2017年10月30日 | 生活
お婿さん探しを目的に大学に入学した私ですが、入学当初はいきなり「結婚相手」を探していたというわけではなくまずは「友人」をいろいろ作ろうとしていました。

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条件はズバリ「話がおもしろい(合う)人」ということで、じゃあどういう人となら話していておもしろいかというと、ひとつには趣味が合う人、それから「頭のいい」人でしょうか。

そうやっていろんな人としゃべったりしているうちに、わかってきたことは頭の良し悪しといってもいろんな特徴というか軸があるということです。その中で私の好みは…

物事の捉え方がしっかりしてる人。概算が的確。一見かかわりがないように見える事柄同士も類似点や隠れたつながりをちゃんと把握していて、頭の中で充実したネットワークができているような人。

概算が的確というのは、たとえば何々がいくつくらいあるだろうか? というような疑問があった場合に、知りえていることは限られていたり、誤差があったり、あるいは計算が複雑でめんどくさかったとしても、近似的な値や推測を交えて実用的な値が出せるということ。また、それがどのくらいいい加減でどのくらいなら信頼できるかがちゃんとわかっていること。

ま、そんなわけで、よりすぐりをピックアップした結果の(笑)よしぞうは、かなりそういうことのできる人です。さらにさらにこれを極端に推し進めて世界レベルに高い人となるとファインマンみたいな人だと思う(よしぞうがファインマンみたいにすごいという意味ではもちろんなくて、頭の良さの系統が似てる)。

で、案外「身近」なところに、よしぞうよりはるかにこの面で優れた人がいたってことを最近になって改めて知ったのですが…

「原発事故と科学的方法」(牧野淳一郎)

この著者は、私とよしぞうがいた学科の一期生(我々より四年上)です。四コ上だと直接の関わりはほとんどないんですが、少人数学科なので(定員8名)見かけたことはけっこうありました。なんか楽しそうにしてる人だなっていう印象だった(^^;;

この本は、大震災で原子力発電所が事故を起こしたとき、その事故がどのくらいの規模でありどんな影響があるのかということについて、どんな人がどのように見積もってどのように発言(発表)していたかということをたんたんと克明に記録したものです。地味な小冊子ですが、これは静かに迫力ある本です。

牧野さんは物理学者ですが原子力関係の専門ではなく、政府にも東電にも関係ないです。つまり、一般の人が誰でも入手できた情報のみを使って「簡単な計算で」いろんな見積もりをするくらいのことしかできないんです。でも、震災翌日(3月12日)の、政府関係者や学者がこぞって「メルトダウンしない」といっている中で、「メルトダウンの危険あり」「大量の放射性物質の放出あり」ということを発信(twitterなどで)していますし、3月14日には各地で計測された空間線量率を元に漏れた放射性物質の量を計算しています。

この計算の結果はあとから振り返るとほとんど正しく(桁は合ってる)、しかし国がそのことを認めるにはあと一ヶ月くらいかかったわけで。

牧野さんは東京在住ですが、計算結果と風向きから考えて、3/15からしばらく牧野さん(とパートナーさん)は東京を離れています。そしてまた東京に戻るのですが(仕事もありますしね)、3/15から数日間東京を離れるというのはまことに適切な怖がり方であったことは、これまた今から振り返れば明らかです。

で、牧野さんは、高校で習う程度の物理と、ネット上にあって誰でも見られるデータからこの程度の計算ができるのにどうして政府や東電や専門家が事実からかけ離れたことを言うのかということと、そういう状況の中で個人ができることは何かということについての考察をこの本の中で進めていますが、それはそれとして(ご興味のある方は本を読んでいただくとして)

「高校で習う程度の物理と、ネット上にあって誰でも見られるデータからこの程度の計算が」誰でもできるかっていったらできないです…そこんとこ、頭のよすぎる牧野さんにはいまいちピンとこないみたいですが、

何がすごいかっていうと、どんな値がどっち側にどのくらいの誤差を持っているかということとか、それをどういう処理して出た値が(以下略)
まぁともかく、数を扱って推論をしていくときに迷子にならない方向感覚です。ついでにいえば距離感覚みたいのも持ってて、だから今、自分がどのへんにいるかかなり正確にわかるんでしょうね。これはそんな簡単に身につくものではないしまさにこれが頭のよさの核となる部分なのだと思います。

ちなみに私が同等の概算をしようと思っても無理です。そういう能力は持ち合わせていません。たぶんその域まで行くには生まれつきの何かも必要です。

けれど、なんらかの推論や概算をした人がその筋道を説明しているのを聞いて(読んで)、それが合っているかどうかについては私でもかなりわかります。大学や大学院で学んだことは、一見、仕事とも生活とも無関係のジャンルのようでありますが、結局のところそういうことには役に立つんです。

受験勉強から大学・大学院まで。いろんなことを学んできた中で、人生においてムダなものなど何一つありません。

子どもから「数学なんて(英語なんて)いったい将来なんの役に立つのさ」といわれたら、たとえばこんなことが答えのひとつになると思います。知識や、科学的なものの見方や、論理的思考能力など、自分が身につけたものを総動員して、何をどのくらい信頼するかを判断すること。これは生活の基本でしょう。自分が別に頭よくなくたって(笑)頭のいい人を見分けられるだけでいろんなことができるわけです。


(間違ったことをいっていた政治家や専門家は、実際のところ頭が悪いとは限らず、正しいことを知ってはいてもいろんな大人の都合があったりするのだから別の話です)

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コメント (2)
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