仕事を終わり、「ただいま」と玄関を開ける。「お帰り」と、リタイヤした夫が台所から顔を出す。その向こうのリビングから、母がニコニコと「お帰り」と言う。
座布団にチョコンと座り、テーブルに向かいイロイロな事をしている。絵を描いたり、塗り絵をしたり、算数の単純計算をしたり…。
テーブルに写真を出して見ている時があった。子供達の幼稚園や小学校の時の集合写真を見て、子供達をちゃんと当てるのである。親の私でも、どれがウチの子?と探す事があるのに。小さい時はしょっちゅう会っていたので、小さい頃の顔の方が、良く分かるのである。
自分の若い頃の写真を見て「おぉ、若くて美人だったの」と。「じいちゃんも、若くていい男だの」と楽しそうに虫眼鏡で見ている。
お習字をしている事もあった。父の名前を漢字のフルネームで。「じいちゃんの名前は○○義男だの。義が難しい」と言いながら、何回も何回も書いていた。
母が来てから、母と枕を並べて寝ている。「夜中にトイレに行きたくなったら起こしてね」と。夜中に、フっと目が醒めた母は「○○義男って、誰?」と言った。「何か一杯書いたような気がするが」と。「おじいちゃんの事よ。おばあちゃんの旦那さん」じっと考えて「おオ、そうだの。じいちゃんだ」と笑う。
本当に、夜中に目が覚めると色んな事が分からなくなる。私は誰?ここは何処?どうして何にも分からないのだろう。と、辛そうに涙を浮かべる。
「大丈夫よ。朝起きて、ご飯を食べれば思い出すから。だから、安心して眠っていいのよ」と、そっと布団の上から柔らかく撫でる。
私は、昼は会社に行っているが、ずっと夫が面倒を見ていてくれる。感謝している。そして、ゆったりと、母に合わせた時間の流れが、心地よく感ずる。
今、思いがけなく短い間だけど母と一緒の時間を持てて、本当に良かったと思っている。
座布団にチョコンと座り、テーブルに向かいイロイロな事をしている。絵を描いたり、塗り絵をしたり、算数の単純計算をしたり…。
テーブルに写真を出して見ている時があった。子供達の幼稚園や小学校の時の集合写真を見て、子供達をちゃんと当てるのである。親の私でも、どれがウチの子?と探す事があるのに。小さい時はしょっちゅう会っていたので、小さい頃の顔の方が、良く分かるのである。
自分の若い頃の写真を見て「おぉ、若くて美人だったの」と。「じいちゃんも、若くていい男だの」と楽しそうに虫眼鏡で見ている。
お習字をしている事もあった。父の名前を漢字のフルネームで。「じいちゃんの名前は○○義男だの。義が難しい」と言いながら、何回も何回も書いていた。
母が来てから、母と枕を並べて寝ている。「夜中にトイレに行きたくなったら起こしてね」と。夜中に、フっと目が醒めた母は「○○義男って、誰?」と言った。「何か一杯書いたような気がするが」と。「おじいちゃんの事よ。おばあちゃんの旦那さん」じっと考えて「おオ、そうだの。じいちゃんだ」と笑う。
本当に、夜中に目が覚めると色んな事が分からなくなる。私は誰?ここは何処?どうして何にも分からないのだろう。と、辛そうに涙を浮かべる。
「大丈夫よ。朝起きて、ご飯を食べれば思い出すから。だから、安心して眠っていいのよ」と、そっと布団の上から柔らかく撫でる。
私は、昼は会社に行っているが、ずっと夫が面倒を見ていてくれる。感謝している。そして、ゆったりと、母に合わせた時間の流れが、心地よく感ずる。
今、思いがけなく短い間だけど母と一緒の時間を持てて、本当に良かったと思っている。