ふみさんの日々雑感

生活の事、家族の事、大好きなサッカーの事・・・日々いろいろ

文庫「深海のYrr(イール)」フランク・シェッツィング著

2008-09-09 22:15:42 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
上・中・下と分厚い三冊。本屋さんで平積みされていた本を手に取った。帯に福井晴敏氏と瀬名秀明氏の言葉が載っている。面白そうとワクワクして買って帰る。

読みでがあった。途中、別の本と三冊くらい並行して読んだ。時々、どうしても読みたい本が重なると、電車の中ではこの本、寝る時はあの本とか、読む事がある。夫は「信じられない」と言うが、娘と「普通だよね」と二人で笑う。

「深海のイール」は本当に面白かった。映画化が決定しているらしい。本当に読んでいても映像的だ。読み終わって、長い長い映画を見たような気分がする。

私達は、宇宙の成り立ちをビックバンからと知っている。又、宇宙は膨張を続けていると聞かされている。そして、360度、宇宙を観察して、膨大な知識を得ている。ロケットを打ち上げ、人は月に降り立ち、今でも、軌道上で生活し、宇宙服を着て船外に出て作業をし、実験をしている。

でも、私達はこの目の前の海の中の事をどれだけ知っているだろう。宇宙と違って、潜水服を着ても、潜水艇に乗っても、本当の深海までは行けない。イロイロな方法で観察して、知っている事もあるが、宇宙よりも知らない事が多いのではないだろうか。

ある時、不可解な出来事が、あちこちであった。まだまだ小さな事が、漁船が帰って来なかったり、網が何回か切られたり、鯨の様子がおかしかったり・・・。

石油会社がノルウェー沖の海底斜面ののメタンハイドレートの調査をしていた。そこで、メタンハイドレートに群がり蠢く膨大な量のゴカイを発見する。見た事もない新種。

鯨が船や人を襲い始める。魚達も意志を持ったように漁船を沈め始め、毒を持ったクラゲ達やサメが人を襲う。又、毒を詰め込んだ無数の深海の蟹が絨毯のように海岸から人間の住む町に這い上がってくる。

そして、メタンハイドレートに群がったゴカイはとうとう、ブローアウトを起こし、大津波が海岸の町や都市を襲った。

深海には、太古から息づく知的生命体がいる。人間は自分の都合のいいように、余りにも海を汚し物を捨てすぎた。その、知的生命体は人間を海から追い出し、陸上からも抹殺しようとする。

そして、とうとう、メキシコ湾流を止めようとしている。地球の海は千年をかけて回流している。メキシコあたりで温まって海水は表面を流れグリーンランドで滝のように深海に流れ込み、今度は海底をメキシコに向かって流れて行く。そして、その流れが止まったら地球に氷河期が来る・・・。

下巻の後半のクライマックスは一気に読んだ。業火につつまれ爆発して深海に沈んでいくインディペンデンス号。そして、青く美しく光る深海。

私達は清涼な空気や澄んだ川や湖に憧れる。私達は森林や珊瑚礁やたくさんの魚の泳ぐ海に憧れる。それなのに、私達は地球を傷つけ、破壊し続けて来た。

でも、人間がこの地球上に生き続ける為には、人間も自然の一部なんだという事を、もう一度考えなければいけないのではないだろうか。

地球は人間がいなくなっても別に困らないが、人間は自然界のバランスが少しでも崩れたら生きては行けないのだから。



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする