ふみさんの日々雑感

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文庫「クローズド・ノート」雫井脩介著

2008-09-26 17:18:00 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
主人公が自室のクローゼットで前住人のノートを見つけ、その、ノートを読み始める事により平凡な日常が大きく変わり始める。

と、言うことで読み始めた。雫井脩介氏の小説と言うことで、別の意味のミステリーを想像していた。

でも、読み始めて久しぶりにホンワカした本を読んだと思った。読み始めて、半ば頃から進む方向と終わりが何となく想像出来、そして、その方向に進んで行った。

ラストは青春っていいなと思った。純粋に真っ直ぐに人生を人を見つめる事が出来る。そして、生きる事を愛おしく思える。

読みながら、読み終わって、遥か昔の自分の青春の頃を思い出した。
私にも、人生とは、愛することとは、未来とは、生きていく事とは、と真剣に悩んだ事もあった。

愛し、恋焦がれた昔の恋人を思い出した。携帯もPCも無い頃、愛しい思いを手紙に綴り、返事を待ちながら、会いたくて、夜眠れなくて枕を濡らした事もあったっけ。

この、「クローズド・ノート」のように、あの頃、日記を書いていた。中学1年生から、ずっと欠かさず日記を書いていた。結婚した初期の頃まで。そして、いつの間にか書かなくなった。

結婚し、何回か引越しを繰り返し、処分しょうかなと思いながらも、封印した箱に入った日記帳は共に旅をした。でも、子供が大きくなり、自分の時間にゆとりが出来た頃、私は、それらを処分する事にした。

もしも、何かの事故で私が亡くなり、残された人がソレを紐解き読んだらと思ったら恥ずかしい。そして、誰にも見せない前提で書いた日記。だから、誰にも、特に夫には読まれたくない。

処分しょうと決心した日から、何日もかかって日記帳を最初から読んだ。中学1年生なんて、当時の自分は一生懸命考え生きていたのだろうが、読んでいて本当に微笑ましく可愛かった。もう、忘れてしまった同級生をリアルに思い出したものだ。

でも、卒業してお勤めしていた頃の、青春真っ最中の自分は、今の自分から見ると、羨ましくて妬ましい。若く、美しく(?)溢れるエネルギーに満ちていた。世界は私の為に回っていると思えるほど、青春を謳歌していたと思う。

身を焦がすような恋をし、そして、辛い別れ。心の中の開かずの間に閉じ込めておいた思いを、日記帳が解き放った。再び、その当時の私の心を思い出し、しばし、自分自身の心を抱きしめした。そして、永遠に私の日記帳は処分された。

私と夫は7歳も違う。彼は戦中の人、私は戦後の「戦争を知らない子供たち」の年代。だから、結婚した時の考え方のギャップは大きかった。結婚した時の23歳と30歳の差はとても大きかった。今以上に大人と子供の差があった。



だから、私は結婚した時から歴史は新しく始まると思っていた。その時からを出発として、お互いに信頼と尊敬と偽りのない生活をして行こうと。

それから、何十年と夫と生活を築いてきたが、私は夫を尊敬し信頼し、優しい子供達に恵まれた。幸せだと思っている。

でも、久しぶりに前世の自分の恋物語を思いだいした。あの人は、今、どうしているだろうと。元気でいるだろうかと。



コメント
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