朝刊の家庭欄に、「お正月に、大掃除・料理・皿洗い 誰も動かず」 で、集まった家族はくつろいでいるのに、どうして自分だけ忙しいのか、の特集があった。
確かに、家族が多かったら大変だろうなと思う。
私の妹は、夫の両親と同居していて、二人の娘がそれぞれの子供たちと夫と泊りに帰って来て、赤ちゃんを入れて、13人も泊りで集まって大変だと言っていた。おまけに嫁いだ義理の妹たちも挨拶に来たりして・・・。
私も自分だけが、と思う時もあった。いい気持で寝ていた夫が、紅白が終わる頃に「そろそろ年越しソバだね」と起き出して来た時に、ウッと思った事もあった。
夫が亡くなって、子供と3人のお正月は、本当に寂しかった。
そして、娘が結婚し、子供が生まれ、家族が増えて行くのが嬉しかった。
ある時、子供たちに「お正月に、美味しいと言われる高いおせち料理を取り寄せてみたい。食べてみたい」 と言った。
それで、カタログを取り寄せて、娘と一番、美味しそうなおせちを頼んだ。
もちろん、他にもお料理も作ったが。
生まれて、初めて取り寄せたおせち料理。
私的には、期待外れだった。期待が大きかったので、もういいやと。やっぱり、味が私には合わない。好きではない物もあるし。
それからは、いつもの、私が子供の頃から慣れ親しんだ田舎料理が多いが、お正月の料理に戻った。
ただ、美味しいお寿司を取り寄せる事にはした。
子供や、婿さんが、片付けを手伝おうとするが、
「いいよ、いいよ。のんびりしていて」 と、私は一人で動き回る。
毎年、夫の不在を実感して寂しく思い、夫の思い出を子供と語る。
だから、余計に彼が残してくれた子供たちが愛おしいのだ。
コロコロ遊んでいるゆうなが可愛いのだ。
そして、大きな大きな幸せを感じながら、紅白が終わると、お蕎麦をゆでる。