新聞での映画紹介で、「バハールの涙」を読んで観に行きたくなり、友達に声をかけてみた。
彼女も映画が好きで、時には一緒に観に行ったり、お互いに一人で観に行ったり。
映画に対して好みが合う事もあるが、会わない事もある。会う時には、一緒に行く。
今回も、「映画の内容はネットで調べてみて。観たいと思ったら一緒に行こう」と誘った。
彼女も「観たい」と言うので、新宿の映画館に行った。
観てからお昼を食べようか、食べてから観ようか、やっぱり早く行って観てから食事をする事にした。
主人公のバハールは、ある日、突然、村に来たISに男達は全員殺され、子供は捕虜とされ、女たちは性奴隷として連れ去られる。
バハールが女戦士の部隊のリーダーとして戦う合間に、彼女が性奴隷としての過酷な生活とそこから逃げ出した事が時々挟まる。
女たちは、点々と持ち主に売られて行く。その途中に妹は自殺をしてしまう。
ある日、女たちとTVを見ていたら、性奴隷として捕まっている女性に訴えかける女性の姿を目撃する。「どんな事があっても死なないで、絶対に生きて。そして逃げて。携帯を盗んで連絡して。どんな方法でもいいから連絡して、絶対に助けに行くから」と。
そして、バハール達は、たった一回のチャンスを逃さす迎えの車に乗って逃げる。全身を黒の服で覆って。
やっとたどり着いた、30メートルの干渉地帯を自力で歩いて行かなければならない。今にも子供を産みそうな妊婦を連れて。
「もう、生まれる」という妊婦に「生んではダメ。ここで産んだら殺される。ほら、あと20歩だよ。1、2、ほら数えて」
思い出しても胸が詰まるシーンだった。土埃で霞む画面を黒ずくめの二人が抱き合いよろめきながら生きるために歩く姿。
先にたどり着いた女性達と助けに来た人と米軍人達が、「早く早く」と見守る。
引きずられるようにたどり着いた所で、女の子を産み落とす。
女兵士たちが歌う歌詞に、たとえ血を流して死んでも女達は未来を生む、女、自由、平和・・・というような意味で、彼女達は、大声で時々、歌う。女に殺されたら、天国へ行けないと信じるイスラムのISに向かって「女が行くぞ」と。
辛い思いを経験した女たちは、勇敢だ。司令官が、「米軍が空爆してから攻める」と何回も反対するが、「今、攻めた方がいい」と何回も進言し、そして、先頭に立ってトンネルに入って行く。
素手での戦いなら絶対に男が勝つが、訓練を積んで機関銃を持つなら、女だって男には負けない。
誘拐された子供を助けるために戦う女は強い。
そして、女性武装部隊「太陽の女たち」に密着取材している、もう1人の主人公の戦場ジャーナリストの女性。
戦場には沢山のジャーナリストが入っているという。彼等がいなかったら、戦場で何が起きているのか、世界は知らない。真実を知らせる事が大切なんだと。
そして、彼女はバハール達の後に付いて写真を撮りながら戦場に入って行く。
彼女のカメラの中のバハールが美しい。
バハールは自分の息子を助け出し、女性ジャーナリストは負傷して国へ帰って行く。
どうして世界は戦い(憎しみ)に満ちているのだろう。
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