ふみさんの日々雑感

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小説「博士の愛した数式」

2006-01-25 22:08:24 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
映画館で予告を見た。ちよっと気になって本屋さんで平積みになっていた文庫を買って来て読んだ。登場人物は博士と家政婦の私と私の息子の10歳のルート。そして、博士の義姉の老婦人。最初から最後まで登場人物はこの名前で呼ばれる。

1975年に博士は交通事故で脳の損傷を受け、記憶が80分しかもたない。博士の記憶は1975年で止まり、新しい記憶は80分で消えてしまう。だから家政婦の“私”は毎朝毎朝、博士の家に行くと自己紹介から始める。そして、その息子も毎日、博士にルートと名付けられる。

数論専門の元大学教師だった博士の世界は美しい数字の海。沢山の難しい数学の言葉が出てくる。自然数・友愛数・完全数・素数・双子素数・合成数・オイラーの公式・・・沢山の数学用語と数字が出てくる。でも、全然それが苦にならない。まるで、シトシト雨が降っているよ、とか、風がそよそよ吹いているよ、とか、桜が咲いたよとか、そんな風に目に頭に入ってくるのである。

一日一日が博士と私とルートと数字とのゆるやかな生活が流れて行く。そして、10歳のルートが22歳になり、博士が亡くなるまで続く家族愛のような友情が続いて行くのである。ある日、記憶が1975年より一秒も未来に進まなくなって、施設に入っても時々たずねて行く“私”とルートと博士の友情は変わらない。大人になってもルートは博士のなかでは守ってやらなくてはならない10歳の少年。

博士はタイガースの江夏が大好きなのである。もう、とうの昔に江夏は引退したのに博士の中では縦縞のエースなのである。入団の時、提示された背番号の中から、江夏が選んだ“28”の背番号。完全数を背負った偉大な投手。

ラストシーンで光に浮かび上がる江夏。生涯で最も速い球を投げていた時の江夏。縦縞のユニフォームを着ていた、博士の大好きだった江夏。そして、背番号は“完全数 28”

朝の満員の通勤電車で最後のページを読む時涙がこぼれた。嫌な嫌な事件・事故が多い中で、今日は一日やさしい気持ちで過ごす事が出来た。家族に読む事を薦めよう。

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