行ったからには、ちゃちゃっと写真も撮った。Photo 2007.2.11
でもあまりにたくさんの人が写真を撮っていたので、なんだか恥ずかしくなってしまった。一眼レフで一生懸命撮っていた人もいたけど、こんなに人が多い日に撮っても「作品」は撮れまい。ケータイでパシャパシャ記念写真を撮ってる人もたくさんいた。ある程度の写真好きとしては、みんなと同じ写真はできるだけ撮りたくない。同じ写真を撮って何が面白いのかと思う。が、そうそう来る機会もないだろうから、やっぱり犬の小便(マーキングと言った方が良いですね)のように、足跡を残すように撮る。撮りたい場所が重なって、順番に交代することになったりすると恥ずかしい。表参道ヒルズに行ったときも、三角形の吹き抜けの角で同じ現象が起こっていた。そう言いながらやっぱり、みんなと同じ写真、撮っちゃったよ。
アトリウムに作られたレストランは空中レストランみたいで、ちょっと気持ちよさそうだった。こういう空間構成を作り出す技量はやはりすごい。映画なんかで使えそうな空間のデザインだ。長蛇の列だったけど。
展示スペースは、自由に使える3つの長方形になっている。多目的の展示に対応するためか意外なほど素っ気ない。だがそれも収蔵品や常設展示を持たない美術館らしく、好感が持てる。
国立新美術館は、フラクタル理論を用いたという、グネグネしたルーバー壁面を持つアトリウムがとても印象的。ところが、側面に回るとこれが単なる箱なんだということに気づく。そう、ホントに倉庫みたいな感じ。でもこれは非常に潔いなぁと思った。機能、サービス動線側は、あくまで合理的に、シンプルに。正面から見ると新しい形で、斬新さを売りにしてるように見えてしまうが、機能を支える思想は正しくモダニズム的。あまり人が見ることのない側の外観は省略・節約して、皆が訪れる正面側のデザインに注力した感じ。
また、広々とした敷地に建ち、建物の軒高が高くないので、六本木の喧噪からちょっと離れて、静かな中に佇む感じになっている。正面ファサードの主張は強く、やはり「建築作品」なのだが、街並みを乱すことにはなっていない。江戸東京博物館が、下町にそびえる巨大ロボットみたいなことになっているのとは、かなり様相が異なる。
曲面に沿って、柱と水平ルーバーがあちこちを向いているので、光の入り方がいろいろにコントロールされる。季節や時刻、天気などによって、明るさや直接光の入り具合が変わるのは面白い。
「こんなガラス張りの場所造って、夏になったら温室みたいになって大変よ、冷房代いくら掛かるのかしら?」などと、おばちゃん達がしたり顔でケチを付けていた。でもそう言いながら、しっかりレストランでお食事するんだろうな。
もちろん私も心配だけど、ここは天井があるし、ルーバーでかなり遮ってるので、全面ガラスの古い建物よりはかなりマシなんじゃないかと思うぞ。最近は全面ガラスでも二重だったり、熱線反射だったりして、熱効率の良い建物が増えてるから、ガラス張りだからと言って一概にダメとは言えない。こんなに大規模な建物と、家庭用冷暖房を比較するのがそもそもナンセンスだし・・・。
一応、建築学科出身なんだけど、最近は細かいところに目が行かないので、ディテールは他のサイトへどうぞ。例えば、秋葉OLさん。私なんかより遙かに良く観察しておられて正直言って驚かされる。なぜにそこまで・・・。
新美術館の箱
「本気か!」★紀章展と新美術館
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