ちょっと前のことになるが、1月に開館した国立新美術館に行った。
Photo 2007.2.11
美術館を見学したいと思って行ったわけではなく、たまたま近くを通りかかったついで。休日だったので、六本木の駅から人の流れができていて、なんとなくついていったらたどり着いてしまった。で、アトリウムに無料で入れるのを知り、野次馬根性からつい入場してしまった次第。
どちらかというと、昔あった歩兵第三連隊の建物が、部分的とはいえ、どのように残されたのかが気になっていたので、ついでにその確認もすることに。 それにしても人が多い。東京で新しい施設がオープンしたり、特別展が開かれたりすると、いつもこんな調子。人混みが嫌いなので、普段はこういう場所を敬遠しているのだが、今回はつい迷い込んでしまった。絵画展の方は長い列ができていたので回避。
中に入ってみたら、黒川紀章展をやっていた。建築の展覧会なんて久しぶり。無料だったのでこれもついでに冷やかしてみる。
見た感想としては・・・面白かった。建築の展覧会というと、模型があって写真や図面があって、静かで、ちょっと気取った感じなんだけど、この展覧会はなんだか様子が違った。
新美術館オープニング後、初めての連休だったせいかもしれないが、観客がやたらに多かった。都知事選立候補なんていう話題もあり知名度も高く、老若男女がどやどや。みんな口々にいろいろ話しているので場内が賑やか。こんな建築展も珍しいのではないだろうか。いわゆる建築家志望の学生が多数集まり熱気に満ちて、というのとも違う。
そんな状況を見越したかのように、黒川氏のサービスも派手。とにかく視覚的にうるさいぐらいに主張が文章化されている。図面や写真が壁一面になっているのはともかく、その横にでかでかと文字が並ぶ。10cm角以上もある大きな字で文章が数行ずつ書かれ、離れたところからでも読みやすい。ついつい皆が読んでしまう仕掛けになっている。
美術館での絵画などの展示というと、絵や彫刻を邪魔しないように、比較的小さな字で説明が付けられていることが多く、説明を読むために人が、壁にべったり張り付いて並んでしまうことが往々にしてあるが、黒川氏は逆の方へ行った。図や写真の全体像を見せつつ、遠くからでも主張が分かるようにという展示。 室内に入って、文字や写真、図面を大量に浴びるような感じで、やや視覚過多、情報疲れをしてしまったが、こういう暑苦しい系の展示は久しぶりだったので結構面白かった。
ただし、内容的には両手を挙げて賛同してるわけではない。内容は、今までのまとめであり、紀章黒川のほとんどプロモーションなので、へぇーそうだったの、というだけ。環境との共生を謳っているが、エネルギーを集約的に利用するとして、大型の構築物を企てるあたりは、ホントに共生を目指したエコなんだか怪しく見えてしまう。実際のところどうなんだろう。
ただ、大阪のソニータワーの解体と、中銀カプセルタワーの解体計画に対して、猛然と反論し挑発しているところなどは、まだまだ元気だなぁと思わせられた。確かに解体はとても残念なことなのだが、文句を言う相手がちょっと違うような気もする。どうしても残したいという熱い思いが、そうさせてるんだろうか。70才を超えてるのにまだ枯れてないっていうか、更に元気になって居るんじゃないかとさえ思った。あくまで私見だけど。
#新しい建物 港区 #ミュージアム #黒川紀章