研究室に「Tokyo 1981」というスライドのケースがあったので、中を見てみると、丸の内など、千代田区内を撮影したスライドが数十枚入っていた。気になったのでスキャンしてデータ化してみた。1981年というと、26年前。私はまだ静岡在住で中学生だった。ちなみに私が大学に入学して上京したのは1987年。 スライドには今とはかなり異なる街並み風景が写されていた。でも中には現在も残っている建物が。同じ場所に立ったらかなり違う風景が展開してるんだろうな。そうだ、新旧比較写真を撮ってみよう。
1992年秋、私は研究室の調査旅行で、ロシアのウラジオストクへ行き、そこで街並みの新旧比較写真の撮影を担当していた。研究室に、20世紀初頭のウラジオの建物や街並みを撮影した古写真帖があり、それと現在の様子を比較する写真を撮ってみようという試み。古い写真や絵葉書に付けられたキャプションをもとに現場を訪ね、その写真が撮られたであろうポイントを特定し、カメラを構える。ウラジオの街並みや建物は、約80年前とあまり変わっていなかったので、完全に同一ポイントから撮影できたケースもあった。80年前に誰かが写真を撮ったのと同じ場所に立って、再び写真を撮れたことに興奮した記憶がある。
どうせやるなら今回も、完全同一ポジションでの撮影を試みることにした。
1981年に撮影した人物は不明。恐らく研究室に所属していた学生あたりなのだろうが、正確な撮影場所、撮影日、そして撮影目的も不明。場所の記載がないので、どこの写真なのか全く判らないものも多かったが、東京駅などの有名な建物が写されたものもあり、数十枚の内、20枚程度については、場所を特定することができそうだった。
35mm版スライドフィルムの縦横比は、横:縦=3:2、これに対して、一般のコンパクトデジカメのそれは4:3で、フィルムの方が横長の画角。そこで新規撮影に際しては、PC上でデジカメ画像の上下をトリミングして3:2にした。横方向にも撮影時に若干のズレが生じたりするので、左右もトリミングしている。また、レンズが違うので、画面の周辺部などの歪み方はどうしても異なる。
ちなみに、今回の撮影を通じて、1981年の写真は、どうやら35mmと50mmの単焦点レンズで撮られたことが分かった。80年代頃までは、ズームレンズは便利だが、高価で暗いと言われていたので、この二種類の標準レンズで撮られたのは自然なことだ。
撮影ポイントの特定は、古写真内の建物の見え方、複数の建物の重なり具合などから判別。近景と中景、遠景の重なり具合を詳しく読み取れば、場合によっては、半径1m以下の精度で撮影ポイントが特定できる。ただし、手掛かりになる建物等がほとんど建て替えられるなどしている場合は、近似ポイントから撮影せざるを得ないケースも存在した。個々の探索の顛末はその都度、記していくことにする。
というわけで、今後順次、東京新旧比較(1981-2007)を掲載します。スライドショーができるソフトをお持ちの方は、画像をダウンロードして、2枚を切り替えながらご覧下さい。「Wow!」(欧米か!)ということ請け合い。