自宅から近いのに、あまり知らない場所が意外にあったりする。
上高田マーケット
所在地:中野区上高田3-5
構造・階数:木造・2F
建設年代:1958〜60(昭和33〜35)
解体年代:2013〜14(平成25〜26)
Photo 2006.11.25
上高田マーケットも自宅から10分以内の場所にあるのに、今まで全然知らなかった。
1階はいくつかのお店が入居している昔ながら市場系スペース。写真の左手、建物後方には、木造平屋でプレハブっぽいマーケット建物が伸びている。
でもゲート状になっている建物の形がちょっと奇妙で、マーケット建物風の感じがなぜかあまりしない。2階部分中央に半円形に突き出した部分が唐突にあり、そこには「上高田マーケット」の文字の剥落跡がある。また窓の前面には細くてあまり冴えない木製の桟が付けられている。1階前面部分が開放的で車庫のようなつくりで、かつ装飾が全く無いので、ちょっとだけモダン気味にした2階とのバランスが変で、不思議なことになっている。
1階側面の柱は細かいタイル貼り。単なるマーケット建物にしては、少々モダン過ぎて却って怪しい。しかも上述の2階部分の造作がやや大袈裟。戦前のいわゆるカフェーやダンスホールなどの造作にもほんのちょっと似ている。ひょっとして本物?かとも思うが、立地的に見ると、やはりそんなことは無さそう。剥落した文字などからすると、当初からマーケットだったのだろうが、それにしても、少々不思議なスタイルの建物だ。
とりあえずマーケット自体はちゃんと営業しているので良いのだが、上高田の商店街自体は、昔からの道沿いにできた古くからある商店街で、ここもある意味、取り残され系。店員も客層も全体に高齢者中心のようなので、このマーケットの存続もやや危ぶまれてしまう。
2016.8.30 追記
2015年秋に通り掛かったところ、既になくなっていた。Google S.V.で確認したところ、2013年夏までは建物が存続していたようだが、その後、2014.7までの間に解体されたようだ。その後、2015年時点ではコインパーキング。
2023.1.8追記
1958(昭和33)年発行の「東京都全住宅案内図帳」では当該地は空白で、この頃にはマーケットはまだ建てられていなかったようだ。しかし、1961(昭和36)年発行の「東京都全住宅案内図帳」では「上高田食品ストアー」とあり、1960年頃に建てられたようだ。また1970年代の住宅地図では「上高田食品センター」と記されている。最終盤は魚屋さんのみになっていたようで、2006年版の住宅地図では「魚 丸権」と記されている。
Tokyo Lost Architecture
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