都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

食糧ビル その4 その他

2019-03-08 | 江東区  

 屋上には小さな祠があり、ちゃんと神様が祀られていた。万事洋風な建物だが、ここだけ和風で赤い鳥居まであるのが面白い。

 屋上の階段室。当初は窓があってガラスがはめられ、階段に光が差し込んでいたのが、何らかの理由で埋められてしまったのかもしれない。いずれにせよ、屋上の階段室まで、それなりの装飾窓になっているのには少し驚かされる。


階段の手摺

 花か穀物の実のようなものを思い起こさせるデザインがさりげなく付けられている。


窓の鍵

 建設当初からのものだろうか。左のレバーを引き上げると、上下のかんぬきが外れて、ガラス窓を外へ向かって開けることができるようになる仕組みらしい。カーブを描いたノブが印象的。


電話交換機?

 交換手が必要なタイプの交換機であると思われる。一体全体いつ頃まで使っていたのだろうか?。もちろん最後の頃は使われていなかっただろう。どのように使っていたのかもよく判らない・・・。


トイレ
コンクリートのがっちりした仕切が気になる。床面はモザイクタイル。


トイレ床のモザイクタイル

 特別素晴らしい模様であるというわけではないのだが、最近はこのような手仕事自体が少なくなってきているので、トイレ一つにも配慮をして造っていたのだなー、という感慨を持ちました。


中庭側に面している3階洗面所。押し開き窓から外気と光が入る。


地下へ至る階段  地下にはボイラー室、倉庫などがある。


地下室に残されていたボイラー

 いつ頃作られたものなのかチェックするのを忘れてしまった。残念。1階中庭部分に、ガラスブロック製の明かり取りがあるが、照明を点けないと殆ど周囲は見えない。

 Photo 2002.11.6


その1 外観  その2 中庭  その3 内部  その4 その他
Tokyo Lost Architecture
#失われた建物 江東区  #近代建築  #オフィス 
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食糧ビル その3 内部

2019-03-06 | 江東区  


3階・講堂 窓から白い室内に明るい光が差し込む。


真っ白な壁が美しい

 3階の窓は上部が半円形をしている。きれいに並ぶこの窓が室内を華やかなものにしている。


3階階段室。中央が講堂入口

 階段を上りきったところは講堂の前室も兼ねて、少し広くなっている。中庭側の窓からも光が差し込み明るい。


講堂のプロセニアムアーチの一部分。

 米穀取引所なので、真っ白なモルタルで、米の花のレリーフが造られている。


講堂入口の扉

 扉及びその上部に付けられた、正円アーチのガラスのデザインが、シンプルで可愛らしい。


会議室

 豪華ではなく、どちらかといえば素っ気ない部屋だが、机や椅子などの調度品が古く、カーテンもクラシックなためか、不思議な味わいがある。


撤去中の事務スペース

 いかにも戦前からある事務所という雰囲気のある部屋。奥には大きな金庫がまだ残されていた。天井から吊された蛍光灯や、後付の配管、グレーの壁板などがちょっと懐かしさを感じさせる。


廊下の様子。

 上部が半円形になった扉が個性的。扉自体は事務所らしく素っ気ない。エリアを仕切るためか、廊下の途中に、観音開きの木製枠のガラス扉が付いている。

 Photo 2002.11.6


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食糧ビル その2 中庭

2019-03-04 | 江東区  

 中庭部分は建物への採光としてだけでなく、集積する食糧の立ち会い取引の場として利用されていたという。このため中庭2階部分(写真右端)にバルコニーが設けられている。

 1階部分には四方から庇が延びていて、柱廊となっており、半屋外・半屋内空間が造られている。荷物の出し入れの利便性が考えられて造られたものかもしれないが、結果的に魅力的な共用空間ができている。

 柱廊部分から中庭側を望む。アーケード部分が存在することで、アーチによって切り取られる特徴的な視界が得られる。ここだけ見れば、パティオを取り囲んで建つヨーロッパの建物のようである。

 静かな中庭を見下ろす3階バルコニー。四角い中庭の一辺が全てバルコニーになっていて、中庭を独り占めしているようで気持ちよい。

 3階から中庭とバルコニー

 中庭部分には柱廊があり、ちょっと欧米かイスラムの屋敷の中庭のようなしつらえ。四方を囲まれたこの屋外空間には一体感があり、また私的な雰囲気が強く感じられる。

 Photo 2002.11.6


その1 外観  その2 中庭  その3 内部  その4 その他
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食糧ビル その1 外観

2019-03-02 | 江東区  

食糧ビル(旧東京米穀取引所・佐賀町エキジビットスペース)
所在地:江東区佐賀1-8-13
建設年:1927(昭和2)
構造・階数:RC・3F
備考 :2002(平成14)閉鎖・解体
    以下、特記のないものは全て2002.11.6撮影

 もともと米穀取引所として建てられたという建物。
 1990年代は佐賀町エキジビットスペースとなり、演劇の拠点などとして活用されていた。

 1階部分はコンクリートモルタルの外壁。2階以上は光沢のある磁器タイル。銅製の雨樋が光る。


建物1階部分には正円アーチが並ぶ  Photo 1991.8.11


正面左側のファサード

 窓枠などもアルミサッシなどに変更されておらず、当初の姿をよく遺していた。1階の引き違い扉は木製?。モスグリーンの色も意外に馴染んでいた。


正面ファサード中央上部

 中央部のみ3階にアーチ状の装飾が付く。テラコッタだろうか?。○の中にKと書かれたエンブレムがあるが、何故Kなのかは知らず。


正面入口部分

 三方?から中庭にアプローチできるような空間構造になっており、際立った正面性は持っていない。やや地味とも言える玄関部分。写真ではほとんど見えないが、アーチ上部には「食糧ビルディング」の名が掲げられている。


中庭に至る通路に付けられた上階への階段

 1Fの各部屋は、道路側もしくは中庭側から直接入る造りになっていたようで1Fには廊下があった記憶がない。また玄関ホールの類もなく、上の階へは中庭への通路の途中に階段があって、そこから上る構造になっていた。


その1 外観など  その2 中庭  その3 内部  その4 その他
食糧ビル/佐賀1丁目 - ぼくの近代建築コレクション

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