「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         劉暁波氏の見る現代中国の悩み

2010-10-18 06:26:04 | Weblog
2010年のノーベル平和賞を受賞した中国の反体制評論家、劉暁波氏の「産経新聞」(平成20年2月23日)への寄稿文のコピーを知人から頂戴したので、その一部を紹介する。この文章は当時「産経新聞」が連載していた「小平秘録」番外編について論評の形をとったものだ。

「小平は人民に”小康社会”(衣食が足りた社会)の実現を約束したが、現実には貧富の格差が拡大し腐敗が氾濫した。GNP(国内総生産)崇拝により環境破壊がもたらされ拝金主義者の横行、道徳が堕落、社会主義が信念の危機に陥った。今日の中国は特権階級の天国であると同時に権力を持たない大衆には地獄だ。誠実な経営者は生きていくのも困難で詐偽者,投機者が簡単に成功を収める。人間同士の信頼関係や公平さの全くない弱肉強食のジャングルと化した。血生臭さ、野蛮さ、破廉恥さにおいて西欧諸国が資本主義初期においておかした罪悪をはるかにしのいでいる」(以下略)

実際の中国の現実の社会はどうなのかー。先週の土曜日(10月16日)、テレビ東京系の番組「週刊ニュース新書」に出演していた"中国で今一番有名な日本人"の一人、在中国のコラムニスト、加藤嘉一氏(26)の話はとても興味深く参考になった。加藤氏は北京大学を卒業、現在フィナンシャル・タイムスなどに中国語で記事を書いており、中国人の間ではよく知られている存在だそうだ。加藤氏も尖閣問題が発生いらい、原稿の依頼がめっきり減り、ブログの書込みには活動を続ければ"殺すぞ”といものもあったという。加藤氏は中国人の一種の"ガス抜き”と笑っていたが、現在の中国社会の一端がわかり面白かった。