「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        江戸っ子にはなかった隣人同士のいがみみ合い

2012-10-11 10:33:31 | Weblog
わが家から歩いて行ける東京の住宅街で不幸な事件が起きた。隣同士の些細ないがみ合いから元警視庁の警視(86)が隣の女性(62)を日本刀で斬りつけ自分も首を切って自刃した。原因は警視が農薬を使って草木を栽培し、一方の女性は野猫を拾ってきて飼っていた。お互いにそれが日頃から不満でいざかいになっていたらしい。

事故のあった町は環状7号道路から近いが、まだ造園業もあり静かな住宅街である。戦前までは近くの小学校の校歌にもあるように”冨士の高嶺が彼方に見える”静かな田園地帯であった。恐らく新潟県出身の元警視は、功なってここで隠居生活を送りながら、農薬を使ってバラでも栽培していたのかもしれない。一方の女性は独身のようだが、寂しさから野猫を拾ってきて飼っていたのかもしれない。

江戸三百年が泰平だっのは犯罪が少なかったからだという。寺社や大名屋敷が7割を占め、残り3割の狭い土地に江戸っ子たちは住んでいた。その大半は”九尺二間”(8平方㍍)の狭い長屋に寄り添うように住んでいた。だから他人に迷惑をかけないようにするのが日常生活の鉄則になっていたようだ。

今の東京は集合住宅が多くなり、隣に誰が住んでいるのかもわからない。お付き合いも稀だ。孤独死する老人も増えてきている。幸い、わが町は町内組織がしっかりしていて、回覧板もスムーズに回っている。秋祭りの寄付金にも文句をいう住民はいない。確かに近所づきあいは面倒くさいし面倒な面もあるが、お互いにいがみあっても仕方がない。元警視も隣の住民も根は気持ちの暖かい人たちだったに違いない。都会で住むには、やはり我慾を押さえ、他人への気遣いが必要である。

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2 コメント

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その歳になって (chobimame)
2012-10-11 16:22:41
全く驚きを通り越して、なんだか呆れてしまう空気漂うニュースです。そんな歳になって、そんな死に方をなぜ選択するのか?当人同士は、耐え難いくらいの憤りがあったに違いありませんが、お互いに分別のある年齢ですからもっと違った解決方法は、なかったのでしょうか?お互いに少し譲歩すれば、悲惨な事件だけは防げたと思います。やはり普段からのコミュニケーションが必要なのかもしれません。
それにしても最近は年齢問わず、近隣住民に殺され、犯人は自殺という変な事件が多すぎます。自我優先で協調性がなく、凶暴化しています。安心して暮らせない社会になってきました。日本人の良い部分が無くなりつつあるようです。
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都会生活 (kakek)
2012-10-11 17:57:47
chobimame さん
作家の曾野綾子さんもエッセーで書いていましたが、彼女はバラは大好きだら、有毒の農薬がないと綺麗に咲かないから町では栽培しないそうです。でも田舎育ちの警視は老後の楽しみとして農薬でバラを咲かせていたのかもしれません。一方の女性は猫好きで、野草を鉢に植えて育てていたとのこと。二人ともどこにでもいる普通の人たちです。やはり、都会生活はストレスが多いのでしょうね。
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