ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

孟子って・・・

2008年06月11日 | 中国文化・歴史
 よく聞くのが「孟母」、エリート教育の鑑と伝えられているけれど、「母の教え」というのは子供の心にじっくりと育ち、良き芽をはぐくむようです。
「こうしたらトクやで」と言ってしまいたいのを、もっと高い次元で言っていることもあるでしょうけれど、後世の私たちをも導いているのがスゴイことです。

「孟母」に育てられた孟子の言葉に『春秋無義戦』というのがあります。
春秋戦国時代は群雄割拠、やがて最強の秦によって中国は統一するのですが・・・。

『春秋に義戦なし』300年を越える春秋戦国の世に「正しい戦い」はなかった、ということで、あの劇的な管仲・楽毅をはじめ、すべて「正しい戦い」はなかった、孫子も然り、でしょうか。

これを孟子は言っているのです。孟子さま、その通りですね。
イラク戦争の「ジハード」なんていうのも「正義」ではないし、アメリカの主張も「正義」からは程遠い、古くはシーザーだって十字軍だって、そしてナポレオンだってそう。

名チェリスト、パブロ・カサルスの母も、「戦争に行ってはなりません。あなたになんのうらみもない人を殺してはなりません。相手も家族がいます。あなたが殺されてもなりません。殺す相手もあなたになんのうらみもないはず。これが戦争です。お逃げなさい」と言ったこと・・・平和を求め、国連で「鳥の歌」を弾いたカサルスの姿に世界中は感動しました。「鳥はピース、ピースと鳴いています」と。

カサルストリオというと「チェロのカサルス、ヴァイオリンのティボー、そしてピアノのコルトー」という天下無敵の演奏を思います。しかし、コルトーは天使のような美しいピアノを聴かせながら、ナチスに肩入れしたのです。

コルトーの音楽を聴くとあまりにも美しく、純粋です。
音楽を聴いていてコルトーを嫌いになることは難しいです。
ファシズムに走る人々に「孟子」や「カサルスの母」の叡智をきかせていれば、踏みとどまっていたかも知れません。

これからの日本もそんな危うさを感じていた時、「孟子」を味わったり、カサルスの弾く「鳥の歌」でも聴いていたいです。
もうひとつ、ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」名歌手カップッチルリの歌うシモンの<平民よ、貴族よ>も。


コメント
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