Renata Scotto as Abigaille - Chi s'avanza... Salgo gia
名ソプラノ、レナータ・スコットがヴェルディ「ナブッコ」の難役アビガイッレを歌ったもので、古代バビロニアの王ナブッコの娘、アビガイッレは父と戦場をともにした女丈夫だが、ふとしたことから自分は奴隷に産ませた娘であることを知る。アビガイッレは、父を幽閉し、バビロニアの女王として君臨することを決意する。
奴隷の娘とはいえ、父王ナブッコがわが娘として「王女」の身分で戦場に連れ歩いた、いわば生死を共にしたはず・・・このへんのことは古代中国の「東周列国」の武霊王という英雄の息子が父を幽閉し国を乗っ取ろうとしたこととつながって見える。古代バビロニアと古代中国がこんなに似た物語があるなんて。
もちろんこのアビガイッレについてはそのヴェルディが書いた音楽以外はあまり共感することはなく、レッスンにも持っていかなかったが、私の好きなソプラノ、レナータ・スコットがもの凄い迫力で歌った。
彼女は無限の力を持っているように思える。
「ファウスト」のフィナーレを聴いた時など4000人収容のNHKホールの最上階の天井桟敷のような席にも、これでもかというほど鳴り響き、それが精神的緊張感を伴って、聴衆は「すごいなあ」とためいきだった。
レナータ・スコットは夫がスカラのヴァイオリニストでコンサートマスターだったが、彼女の才能にほれ込んで職をなげうって彼女に尽くしたといわれる。
マリア・カラスがエジンバラでキャンセルした時、レナータ・スコットが歌って「もうカラスはいらん!」とまで言わせたそうで、カラスはスコットを見て「じゃがいも」と言ったそうだ。小柄でコロコロした体格だったし美人ではないが、いったん歌い出すと人を圧倒する。そしてスコットは声をだんだんドラマティックに幅を広げながら着実に「世界を代表するプリマドンナ」となった。
日常の生活は飾らず、彼女を讃えるパーティーでも毛皮のショールをまとう女性たちの中で、自分で編んだ毛糸のショールをまとい、気さくで庶民的なプリマだった。
頭の良い上品な威張らないソプラノであった。
名ソプラノ、レナータ・スコットがヴェルディ「ナブッコ」の難役アビガイッレを歌ったもので、古代バビロニアの王ナブッコの娘、アビガイッレは父と戦場をともにした女丈夫だが、ふとしたことから自分は奴隷に産ませた娘であることを知る。アビガイッレは、父を幽閉し、バビロニアの女王として君臨することを決意する。
奴隷の娘とはいえ、父王ナブッコがわが娘として「王女」の身分で戦場に連れ歩いた、いわば生死を共にしたはず・・・このへんのことは古代中国の「東周列国」の武霊王という英雄の息子が父を幽閉し国を乗っ取ろうとしたこととつながって見える。古代バビロニアと古代中国がこんなに似た物語があるなんて。
もちろんこのアビガイッレについてはそのヴェルディが書いた音楽以外はあまり共感することはなく、レッスンにも持っていかなかったが、私の好きなソプラノ、レナータ・スコットがもの凄い迫力で歌った。
彼女は無限の力を持っているように思える。
「ファウスト」のフィナーレを聴いた時など4000人収容のNHKホールの最上階の天井桟敷のような席にも、これでもかというほど鳴り響き、それが精神的緊張感を伴って、聴衆は「すごいなあ」とためいきだった。
レナータ・スコットは夫がスカラのヴァイオリニストでコンサートマスターだったが、彼女の才能にほれ込んで職をなげうって彼女に尽くしたといわれる。
マリア・カラスがエジンバラでキャンセルした時、レナータ・スコットが歌って「もうカラスはいらん!」とまで言わせたそうで、カラスはスコットを見て「じゃがいも」と言ったそうだ。小柄でコロコロした体格だったし美人ではないが、いったん歌い出すと人を圧倒する。そしてスコットは声をだんだんドラマティックに幅を広げながら着実に「世界を代表するプリマドンナ」となった。
日常の生活は飾らず、彼女を讃えるパーティーでも毛皮のショールをまとう女性たちの中で、自分で編んだ毛糸のショールをまとい、気さくで庶民的なプリマだった。
頭の良い上品な威張らないソプラノであった。