ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

血で王位を争いクーデターを起こす、ヴェルディ「ナブッコ」(2)・・・追加記載あり。

2013年09月07日 | オペラ

昨日のエントリ、若くして引退し伝説的となったソプラノ歌手エレナ・スリオティス、
そして、終戦後、1949年に演奏された感動の「ナブッコ」、マリア・カラス、ジーノ・ベーキという綺羅星の巨匠、
熱い思いでいっぱいになってしまった。

これってもとは最高裁の「婚外子」の遺産について、現状は「違憲」という判決、それも裁判官全員が・・・。
この裏には何かある、国家の危機を感じ、そしてほかのブログでさんざんコメントを入れて疲労困憊し、
その時、ヴェルディの「ナブッコ」が浮かんだ。

そしてクタクタになって、本日、何か書こうと思っても気力も何もない。

また音楽に戻っった。
2011年、イタリアのローマで演奏されたリッカルド・ムーティ指揮の「ナブッコ」をyoutubeで聴いた。
そしてスリオティス以降、ブルガリア出身のドラマティックソプラノ、ディミトローヴァの歌うアビガイッレを。
(そのディミトローヴァも先年亡くなった)



・・・ディミトローヴァによるアビガイッレ、父王ナブッコに対し、クーデターを起こす。・・・

バビロニア王ナブッコの娘で勇猛果敢な王女アビガイッレは、英雄並びなき父王を助け祖国のため戦い、エルサレムを降伏させるが、
ナブッコは正室の娘、フェネーナを時期王位に考えている。
そして、自分は奴隷に産ませた娘であるという秘密を知り、アビガイッレは誇りを傷つけられ、父王ナブッコを捕え、
王位乗っ取りを企てる。


これは並みのソプラノには歌えない。

カラス~スリオティス~ディミトローヴァ、という名ソプラノで聴きたかった。
しかし、ヴェルディのヒーローはバリトンである。カップッチッリ・・・これは何度もエントリしたので今回はやめた。

ヴェルディはイタリア統一運動を作品の中にこめて作曲しているが、それは古代バビロニアであったり、「アイーダ」のように
古代エジプトであったりする。
しかし、すべて聴衆は「イタリア」として聴く。
幽閉された老王ナブッコは、民衆の声に再起する。



・・・バリトンのブルゾンが歌う老王ナブッコ再起の場面・・・最初から2分50秒までです。)
歴史的なバビロン幽囚もイタリアの都市国家による抵抗が敗れ、やがて「祖国統一」への悲願を感じられる。

巨匠ムーティは「これが首都で演奏されること」の喜びを語っているが、この合唱はイタリア人にとって誰でもが歌えるもので、
終戦後、カラスやベーキ主演で演奏された「ナブッコ」も、この合唱はアンコールで繰り返され、会場は狂喜し、全員が歌った。

今回は、イタリアということだけでなく、中東のことをはじめ、平和を祈りながら聴きたいと思った。


・・・バビロン幽囚の合唱<行け、わが想いは黄金の翼にのりて>・・・

ヴェルディは誰が「善」で誰が「悪」ともしていない。
作曲家ヴェルディはそれぞれの立場に光を当てる。

追加記載(9月8日日曜日)

動画の7分30秒から指揮者リッカルド・ムーティは語る。失ってはならないものについて、もちろん文化面でも。
(ムーティはこの曲をイタリアの国会に持って行った。国会議員は「イタリア万歳!」と・・・。)
ムーティの話が終わると、会場の聴衆も一緒に合唱する。涙するステージのコーラス。
イタリアの国会では文化予算が認められた。
 
コメント (2)
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