ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

イタリアの至宝、リッカルド・ムーティによるヴェルディ『アッティラ』スカラライヴ、そしてピアノで解説

2013年09月26日 | オペラ

ヴェルディのオペラ『アッティラ』はマイナーだけれど、私の好きな作品のひとつ。
ヨーロッパを制覇したフン族の王アッティラは、ローマ制圧をはかる。
そこへ「最後のローマ人」と称する宰相エツィオ(アエティウス)は、アッティラと交渉し、ローマを護ろうとする。
しかし、そのエツィオにこともあろうに嫉妬し憎悪する西ローマ皇帝、
またアッティラに父を殺されたローマの貴族出身である女戦士オダベッラは、アッティラの侵攻の歯止めになろうとする。
覇王アッティラは敵ながら優れた宰相エツィオを尊敬し、エツィオもアッティラに対し敬意を表しながらも
ローマのため戦いを決意。
(無敵の覇王アッティラは、カタラウヌムでエツィオ率いるローマ軍と戦い敗退)
歴史オペラで、ヴェルディは「イタリア統一運動」に身を投げ、この歴史にヴェルディの生きた19世紀末を
ローマ時代に重ね、イタリアの民衆はこのオペラに歓喜する。

(ふと思うのだけれど・・・覇王アッティラを「項羽」、エツィオを国士無双の「韓信」、そして西ローマ皇帝を小型「劉邦」
・・・ 西ローマ皇帝ウァレンティニアヌス3世は、劉邦のようなスケールの大きな魅力はない。自分の家臣を疑うのが類似。)

しかし、ヴェルディは「政治として訴えるので成功したのではないか、音楽としてはどうだったのか」と悩む。
そしてさらに研究を重ね、ヴェルディ中期の「ドン・カルロ」「アイーダ」などのように古代や中世にオペラの舞台を設定しながら
「都市国家」で諸外国に常に侵攻されていた祖国イタリアへの思いを、やがて普遍的な大きさに発展させ、
それぞれの人物における苦悩を書き、昇華するのは「巨匠」ならではと思う。



・・・ミラノスカラの1991年のライヴ、ヴェルディ『アッティラ』から前奏曲



・・・指揮者ムーティ自らがピアノを弾き、『アッティラ』の前奏曲を解説する。見つけたばかりのyoutube

今は亡きふたりの名歌手、アッティラを歌うギャウロフ(辮髪である)、そしてローマ宰相のエツィオを歌うカップッチッリ(向かって右)、
ふたりとも最高の適役として絶賛された。古い録音だが、今もこれを超える演奏はない。




「偉大なソプラノ・ドラマティコ、エヴァ・マルトンが歌うローマの女戦士オダベッラ役<聖なる祖国>
敵の覇王アッティラに「そなたの国の女は困難にあって泣きわめくが、イタリアの女は鎧をつけて戦うのだ」と宣言・・・。


・・・古い録画ですが名唱です。
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