ロシアへの編入を決議=住民投票、16日に前倒し―クリミア議会
【モスクワ時事】ウクライナ・クリミア自治共和国議会は6日、ロシアへの編入を求める決議を採択した。また、ロシア編入をめぐる住民投票を30日から16日に前倒しすることを決めた。 (時事通信)
≪参考記事≫
【Q&A】ウクライナとはどんな国か 「生い立ち」異なる東西の歴史産経新聞 2月26日(水)10時20分配信
ウクライナで親ロシア派のヤヌコビッチ政権が崩壊し、この国の行方に関心が集まっている。ウクライナの成り立ちなど基本的事項をQ&A形式で整理した。(キエフ 遠藤良介)
Q どんな国か
A 一般に旧ソ連地域で第2の大国といわれる。国土は日本の約1・6倍にあたる60万3700平方キロメートルで、人口4543万人。住民の8割近くはウクライナ人で、南部を中心にロシア系が2割近くいる。
肥沃(ひよく)な黒土を擁し、古くから「欧州の穀倉地帯」と呼ばれた。東部は石炭と鉄鉱石が豊富で工業基盤がある。代表的なロシア料理のボルシチは実はウクライナが起源だ。1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原発が北部にある。
Q 西部と東部の住民の対立が深刻だと聞く
A 13世紀まで存在したキエフ公国は、ロシア人など東スラブ諸民族にとって共通の国家発祥地だ。その後は複雑な歴史をたどり、1667年には西部がポーランド、東部がロシア領という構図ができた。18世紀には大半がロシアに入ったが、リビウなど最西部が旧ソ連に編入されたのは第二次世界大戦後と遅い。
長くポーランドのカトリック文化圏にあった西部では「欧州の一員」という意識が強く、住民の大半がウクライナ語を話す。東部ではロシア語使用率が高く、ロシアへの親近感が強い。
Q ソ連時代にはどんなことがあったか
A 1920年代末からの農業集団化と穀物徴発は大飢饉(ききん)を招き、33年前後には推定で人口の10%以上が死亡した。西部では第二次大戦から戦後にかけて対ソ連パルチザン闘争が起きた。これは現在のウクライナ民族主義にも影響を与えている。他方、工業化路線が取られた東部では鉄鋼や機械、航空機製造などが発展し、軍需分野も強い。
91年のソ連崩壊以降も「アイデンティティーの西部と経済力の東部」という図式が維持されている。
Q 2004年にも大衆の抗議デモによる政変があった
A 04年の大統領選で親露派のヤヌコビッチ氏が当選したが、「選挙不正」を訴える大規模デモが起きた。やり直し選挙で親欧米派のユシチェンコ大統領が誕生した出来事が、デモのシンボルカラーを取って「オレンジ革命」と呼ばれる。長く続いた親露派政権の腐敗や抑圧に、西部を中心とする住民が不満を強めたことが根底にあった。
しかし、新政権ではユシチェンコ氏と「革命」の立役者だった女性政治家、ティモシェンコ氏の内紛が絶えず、経済も好転しなかった。06年と09年には、ロシアが価格交渉のもつれからウクライナへの天然ガス供給を停止するなど圧力を強め、政権は苦しい立場に追い込まれた。
Q 今回の政変はなぜ起きたのか
A 10年の大統領選ではヤヌコビッチ氏が僅差で雪辱を果たした。だが、この政権はティモシェンコ氏を投獄するなど反対派への抑圧を強め、その腐敗と利権追求の姿勢にも大衆の反発が蓄積した。政権が昨年11月、ロシアの支援を目当てに欧州連合(EU)との連合協定締結を見送ると再び大規模デモが行われ、政権の崩壊につながった。
Q 今後はどうなる
A 次の大統領選では、釈放されたばかりのティモシェンコ氏や、野党第二党を率いる前ボクシング世界王者のクリチコ氏など親欧米派が有力視されている。だが、何より経済危機からの脱却が課題で、東部との和解も不可欠だ。ロシアも、天然ガス供給やウクライナ南部クリミア半島の海軍基地を足がかりに、さまざまな圧力をかけるとみられる。
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平成26(2014)年3月7日(金曜日)
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中国のウクライナ投資は200億ドル、捨て金になるか
ロシアとの友好演出のためにはウクライナを見捨てざるを得ない
昨師走にウクライナを訪問した習近平はヤヌコビッチ大統領(当時)と投資協定に署名し、80億ドルの援助ならびに投資を取り決めた。
ワシントンのシンクタンク「CATO研究所」のドラグ・バンドウ研究員よれば「無駄になる懼れが高まった。そればかりか、中国はウクライナへ過去の投資を見捨てざるを得なくなるだろう」と予測する(FOX ニュース、3月6日)。
過去二年間に中国はウクライナへ200億ドルもの大金を注ぎ込んだといわれる
主目的は農地買収で、開拓した農地へ中国から農民を移民として送り込むのである。ところが、農地買収を契約したとされるウクライナのKSGアグロ社は「中国とは『目論見書』(LETTER OF INTENT)にサインしただけで契約はしていないと言う。
契約が暗礁に乗り上げた理由は「中国の農地買収の究極目的は移民であり、ウクライナは農民の移民を受け入れない。しかも300万ヘクタールの大地を外国へ売却するはずがない。報道されているのは3000ヘクタールの別件である」。
ただでさえウクライナは中国の密航ルートとして活用されてきた。ウクライナからポーランドやチェコへもぐりこむマフィアが斡旋するルートが存在し、いちどEUへ入れば域内の移動が自由になるため、およそ100万人から200万人が、この密航ルートでEU域内へ潜り込んだとされる。
他方、ウクライナ用地の買収はフランスのロスチャイルド系列ドレフェス社が行っているが、これはウクライナ農民を雇用して農作物を生産している。
(以上)