ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

マリア・カラスとマリオ・デル・モナコの「アンドレア・シェニエ」

2014年04月07日 | オペラ
  



マリア・カラスのマリオ・デル・モナコはあまり仲がよくない、気が合わないらしい、ときいていた。
このスカラでの録音を聴いたのは、正規の商業レコードでなはく、海賊盤といわれるもので海外からの輸入品だった。

スタジオ録音でないのでかなり音質は悪い。
しかし、聴いていて引き込まれてしまった。
この海賊盤レコードは、わざわざ東京の神田にある古レコード屋を訪ねてやっと入手したものだった。

あまりにも感動した私は、ピアニストの友人を家に呼んで聴いてもらった。
私「どう?素晴らしいでしょ?」
友人「そうね、カラスの声が恋する女そのものね。とても甘くて可愛いじゃないの」

私「私もそんな気がしたわ、もしかしたらデル・モナコと仲が悪いときいたけれど、これを歌っているときはそう思えない」
友人「カラスのような声で歌われたら、デル・モナコだってイチコロよ」

私「・・・」

イチコロって・・。

しかし、この場面はフランス革命前に、貴族の令嬢マッダレーナにからかわれた詩人シェニエは、荒れた世の中で、聖職者はマリア様に
パンをお供えするが、手を差し伸べた貧しい老人には振り向きもせず、また税をとりたてられ、食べるものにも事欠く家では子供が泣いている、と即興詩で訴え、その場を去る・・・ショックを受ける令嬢、

その後フランス革命が起こり、貴族は一文無しになるばかりか、日々恐怖にさらされる。
今は落ちぶれた令嬢マッダレーナは詩人シェニエに憧れ、ショールをかぶってパリの橋の上でシェニエに会う。

シェニエは今はロベスピエール政権の暴虐を厳しく批判し、命を狙われる日々、一方は貴族ということでやはり命の危険にさらされる令嬢、
「わたしのことを覚えていらっしゃいますか」ときかれてもシェニエは堪えられない。
そこでマッダレーナはかつてのシェニエの詩を口ずさむ。

「昔、あなたを嘲笑した私はあれからずっとシェニエさんのことを思いました。こうして命の危険にさらされながらあなたに会いたいと
思いました。今はあなたさまも権威を失い、危険な日々とお察しします。どうかわたしを退けないでください」マッダレーナは必死で言う。

シェニエは「毎日、私に励ましの手紙を下さっていたのはあなただったのですね。危険の中で、死の恐怖の中で・・・」と。
というところまで友人に聴いてもらった。

私「それからふたりはどうなったと思う?」
友人「寝たんじゃない?」
私「えっ!!・・・」

オペラによるとこの場面のすぐあと、刺客が迫り、マッダレーナを護ってシェニエが剣をぬいて戦い、彼女を逃す、のだけれど。
ピアニストの友人は足をソファの肘掛の上にあげて笑っている。

私「あなた、フランス映画かなにか知らないけれど、映画の見すぎじゃないの?」
友人「知らないわよ、ショパンとサンドはね・・・」

ここからお互いの話は決裂、おめでたい友人同士はデザートとお茶の時間にした。
その友人には絶対に私の伴奏をしてもらわない。
仲はいいけれど、どこかすれ違う。
彼女は政治にも興味はないし、共通するのは料理が好きだということだけ。
私は彼女に「三国志」のビデオを貸した。
彼女は夢中で夜中まで見てしまい、ご主人は彼女を一切見ないでそのビデオに夢中になりながら食事をするという。

「もっと困らせてやろう」と次々と三国志のビデオを送った。
ついに彼女は中国旅行まで夫婦で行ったそうな・・・。
諸葛亮の「出師の表」も読んでいた。
ご主人の車に乗せてもらった時、ふたりは「趙雲子龍が・・・」と話していた。
ビデオ、効きすぎたか・・・。

ずっと昔の話である。

≪追加≫
再会の2重唱の前の場面、シェニエはデル・モナコ



これはマリア・カラスのライヴァルで大柄なソプラノのレナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコとは気が合ってよく共演。
上記の場面と同じ、対訳字幕付き。






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4 コメント

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AHAHA (rimrom789)
2014-04-07 21:52:32
ベッラ様
真面目な音楽談話なのにコントの世界ですよ。

人生経験豊かな友人も居る方が良いと思います(何時か思い当たるその日が来ます様に)

仏、伊人でも純粋な恋心は持ってる筈、素朴で平凡な恋愛は映画や小説のテーマにはちょっと。

日本だって源氏物語の世界じゃ華やかさではおフランスに負けてないですし。

グルメの(グルマン?)上司が糖尿境界値で医師に説教された。
日頃の薀蓄が耳にタコだったから、ここぞとばかり粗食を勧めまくってやりました。

やたらカロリー計算に詳しくなり今では一緒に食事する時は煩いのなんの。

白米だけにせず麦や蒟蒻を混ぜる方が効果がある云々。

切々と歌うカラスにみんなコロリ?
クレオパトラの反対でもう少し鼻は低い方が。

ベッラさんの友人はネットをご覧にならないのですか?
政治ブログを読めば無関心で居られなくなると思いますが。



返信する
なんか説教じみている (rimrom789さまへ)
2014-04-07 23:23:12
なぞなぞのようなコメント、なんとなく引っかかるので
動画2枚追加しました。

カラスにはテバルディというライヴァルがいて、スカラは
おおいににぎわいました。
テバルディは大柄で、裏方さんがぶつかってひっくり返る
(もちろん裏方さんが)という、体重もかなりですが
身長はヒールをはくと190㎝を超えるのです。
デル・モナコはほとんどテバルディとオペラ録音を
しました。テバルディは暖かい歌を聴かせました。

rimrom789さま、「源氏物語」がどうしたって?

ピアニストの友人はすごいブルジョアのお嬢様なんですよ。
私などビックリしました。グランドピアノは2台並んでいるし
し、話題が豊富。
ただ政治はあまりわかろうとしないのです。

私も努力して説明したのだけれど逆に「あまりそんなこと
言わない方が」と説教されました。

だから少し違うのです。
ただしピアノは素晴らしい。
返信する
ヴェルサイユより (rimrom789)
2014-04-08 00:04:27
ベッラ様
恋愛映画はフランスの方が上質かも知れないですが、文学の世界では世界最古の源氏物語が君臨している、と。

食は三代と言いますから、ベッラさんだって十分セレブですよ。

そうじゃなければネットの上でも斯様に品のある文章は書けないでしょう。

グランドピアノ2台?軽く1千万円を、などとすぐ言いだすのが哀しき一般シチズンの性。

小野ヨーコさんは生まれも育ちもセレブですがヌード写真を世界に発表して言動も自由気まま。

女性が政治の話をしないのは少し前までだと思いますが?
あまり詳しすぎても怖いかなぁ。

セレブの映画監督と言えばヴィスコンティ、画面の調度品が芸術的なのは流石!です。

これは未だ見てなかったですが動画が少ないのでこちらを。

http://dic.nicovideo.jp/v/sm10404604


返信する
おお、ビスコンティ!! (rimrom789さまへ)
2014-04-08 01:01:25
ビスコンティは貴族出身の芸術家ですね。
映画でも有名ですが、カラス出演のスカラ公演は
ビスコンティが演出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=oC2N3naKPO0
ビスコンティはカラスは舞台女優のように演技力があると
絶賛、そこに立っているだけで雰囲気のあるプリマ。
ビスコンティ死後はその教え子のゼッフィレッリが
スカラのオペラを演出、スカラの黄金時代といわれています。でもゼッフィレッリはカラスを女神のようにあがめて
いましたが、カラスはあまり評価していません。
ビスコンティこそ素晴らしい演出家と言っていたようです。

小野ヨーコさん、あまり知らないもので・・・
すみません。
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