★ ポーランドの誇る20世紀中葉の美しき実力派女流ピアニストふたりを久しぶりに聴いた。
日本ではもう忘れられているか、あまり報道されなかったふたりの名ピアニスト、しかし今のピアニストでは聴けない情緒と激情があり、録音は古いに関わらず、心を揺さぶる名演奏である。
最初にハリーナ・ツェルニー=ステファンスカ。ショパン「ポロネーズ」作品44
Halina Czerny-Stefanska: Polonaise, Op. 44 in F sharp minor (Chopin)
次は女優のような美女、レギーナ・スメンジャンカ。
Regina Smendzianka: Waltz in B minor, Op. 69, No. 2 (Chopin)
素晴らしい!!
ポロネーズの方は、流麗なポリーニに馴染んでいる人にとっては、別バージョンを聞かされているような感じです。ひょっとすると、彼女は左利きなのかなあと思って聞きました。
ワルツの方は、右手音がオルゴールみたいで、左手は、単に押さえているだけですが、このような演奏は聞いたことがありません。驚きました。ワルツは、アシュケナージが売れているようですが、この曲に関しては、スメンジャンカの方に軍配が上がります。
ゲーザ・アンダのワルツが好きな人は、スメンジャンカの良さを認めるのではないかと思いました。
面白い演奏楽しみにしております。
活躍した1950年代はポーランドにとって大変厳しい
時代であり、このようなすぐれたピアニストはなかなか
西側では知られていませんでした。
同じポーランド出身のルービンスタインははやくから
アメリカに亡命していたので、そして戦前から世界的
でしたのでまた別です。
東側ではその実力が知られていましたが、西側には
なかなか伝わらなかったのです。
ハーリナ・ツェルニー=ステファンスカはダイナミックで
オーケストラのように弾き、またあのコルトーの愛弟子
でもありました。第一回ショパンコンクールでは
ずば抜けた演奏で優勝した、そのことすら伝わっていない今となっては幻の名ピアニストでもあります。
スメンジャンカは優美でポーランドの憂愁をこよなく
表現し、ポーランドそのものをあらわすフレージング、
また絶世の美女であり、ハリウッドの女優も真っ青
でしょう。
このふたりのピアニストを知ったのは、私の友人の
ピア二ストがヨーロッパでその教えを受けたことからで、もしそうでなかったら私もよく知らないままであったと思います。
去年、ピアノを弾き始めたばっかりで、あまりピアニストに詳しくはないのですが、この方の演奏を聴いて、Op.69-2のワルツに惚れました。
その後、練習しながら色んな方の演奏を聴き比べてみましたが、この方の演奏がズバ抜けて美しく聴こえました。
何度聴いても、うっとりします( ;´Д`)
ピアノはその詩的なリリシズムをばら撒くように、
また語り掛けるような表現は音楽の語法でいえば
まさしく「ショパンの祖国ポーランド」がちりばめられて
いるように思います。
そしてこれみよがしな演奏でなく、優雅の極みですね。